文:尾形聡子
[photo by Eileen]
アイコンタクトは犬が人とコミュニケーションをはかるために獲得した、重要な社会的認知能力のひとつです。アイコンタクトを取ることで、犬は人とよりうまく協調して作業を行うことができたり、困ったときに助けを求めたりすることができます。また、アイコンタクトは犬と人の両者においてオキシトシンレベルを増加させ、絆の形成に影響を及ぼすことがわかっています。
なにより、飼い主としては、できるだけアイコンタクトを取りやすい犬であって欲しいと願うものでしょう。しかしアイコンタクト行動の傾向は犬によってさまざまで、それには遺伝と環境の両方が影響していることがこれまでの研究から示されています(『人へのアイコンタクトの違いは個体差?それとも犬種差?』参照)。
ハンガリーのエトベシュ大学の研究者らは、絆形成の構築に欠かせない役割を持つアイコンタクトについて、どのような要因がその行動に影響を及ぼしているのかをさらに探索しようとしました。彼らが『ScientificReports』に発表した研究によれば、犬の4つの特性が見知らぬ人とアイコンタクトする傾向、すなわち視覚的なコミュニケーション能力と関係していることが示されたのです。
4つの要因に着目して解析
これまでの研究を鑑み、研究者らは以下の4つの要因がアイコンタクトに影響している可能性があると仮定しました。