社会化期に入る前の子犬への、母性行動の影響

文:尾形聡子


[photo by susan]

動物が生まれてくる前の卵や生まれて間もない子に対してとる養育行動のことを母性行動といいます。「母性」という言葉が使われながらも(英語でもmaternal behaviorといいます)オスが養育行動をとる場合も母性行動になり、動物種によってそのやり方や期間などはさまざまです。犬での母性行動は出産前の巣作りから始まり、出産前後は基本的に母犬であるメスが授乳やグルーミング、排泄など子犬が離乳するまでの世話をすべて行います。

新生児期の子犬が生きていくためには母犬から養育行動を受ける必要があり、かつ、親子間での接触は子犬の社会的能力の発達にも影響を及ぼすといわれています。それについては「社会化期初期:環境強い犬になるための、はじめの一歩」の中で少し触れましたが、社会化期に入る前の新生児期においても母犬からの養育行動の受け方により子犬の神経系の発達に違いが生ずる可能性があると考えられるためです。

https://inuiwaku.net/?p=32095

犬の社会化期についての研究はたくさん行われているのですが、母性行動についての研究はそれに比べて少なく、母性行動の質や母犬の精神状態などが子犬の成長後にどのように影響してくるのかについてはあまりよくわかっていません。ですが、母性行動そのものや子犬の将来的な成長に影響を与える可能性のある要因について、現時点で研究により示されていることを確認しておくのは、とりわけブリーダーにとって大切ではないかと思います。というわけで、今回は犬の母性行動にはどのようなものがあるのかを挙げながら、研究の現状を紹介していきたいと思います。

母性行動そのものについて

犬の新生児期は生まれてから

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