3Dプリントからも懸念される短頭種の脳の状態

文:尾形聡子


[Image by dr. Kálmán Czeibert] 頭蓋骨とデジタルエンドキャストによる脳の再構築。左がチワワ、右がナポリタン・マスティフ。脳の大きさは体のサイズと比例して大きくなっているわけではないことが判明した。

一般的に動物は、体が大きいほど重量のある脳を持っています。近年の研究により、脳の大きさと知能の高さは必ずしも比例するものではないことがわかってきています。

わかりやすい例が鳥類です。空を飛ぶためになるべく体を軽くするように進化している鳥たちは、陸上で生活する生物よりも脳の重量が軽くなっています。しかし、だからといって鳥類の知能が低いわけでは決してありません。身近にいるカラスのことを考えてみれば、誰もがそれを納得するのではないでしょうか。実際にオウムやカラスは彼らよりはるかに大きな脳を持つ霊長類と同等もしくはそれ以上の数のニューロン(神経細胞)を持っているようです。ニューロンの密度の高さや数だけが知能の高さを作っているわけではないにせよ、少なくともそれは動物の認知能力に関係していると考えられています。

認知能力の高い動物といえば犬。人によって大小さまざまな犬種がつくられてきましたが、体の大きさと脳の大きさがある程度比例しているならば、そして犬という動物のニューロンの密度が同程度であるならば、脳が大きい犬ほど知能が高いと仮定することができます。以前、そんな疑問について調べた研究を以下のブログで紹介しましたが、一概に「賢さ」と脳の重量とに関係があるとはいえませんでした。けれども、それと特定の行動との間には関連性があることが示されました。

https://inuiwaku.net/?p=21344

脳の大きさだけでなく、犬の多様な頭蓋の大きさや形状は、脳そのものの位置や形に影響してきます。たとえばシドニー大学のMRIを使った研究では、短頭種の脳は鼻の長頭・中頭種と比べると前方に15度傾斜しており、嗅覚をつかさどる嗅球と呼ばれる脳の領域は、

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