犬曰く対談 -ペットの安楽死と日本の犬文化

[Photo by Danilo Urbina]

安楽死の是非がマスメディアやSNSで盛んに討論されている。「生きる権利」vs「死ぬ権利」。そのきっかけとなったのは、2019年6月にNHKで放映された神経性疾患を持つ女性がスイスで自死を遂げたドキュメンタリー。さらに最近ではALS女性安楽死事件も拍車をかけた。さて、私たちの大事な家族であるペットの安楽死についてはどうだろう。人のように違法にはならない。それでも日本では欧米に比べるとかなり抵抗があるようだ。

杉田・入交(2016)の調査によると、調査対象となった獣医師の年平均安楽死回数は2.48件(比較としてアメリカの調査では90.36件)。さらに安楽死を行なったことがない獣医師も20%ほど存在した。日本において安楽死は、飼い主の間ではもとより獣医師の間でもまだまだタブー視されていると感じる。The Japan Timesにも同様のことをレポートしている記事が掲載されているので以下を参考にされたい。

https://www.japantimes.co.jp/community/2016/07/31/how-tos/difficult-questions-japans-animal-loving-city-dwellers/

筆者(藤田)が住むスウェーデンでは、愛犬の最期はほとんどが安楽死、といっても過言ではない。ただし、安楽死でもその前にがんなどの不治の病におかされていれば、その病気そのものが死因となるので、どれほどの犬が安楽死を受けているか正式な統計数字としてはでていないようだ。従業員が10~15人ぐらいのスウェーデンでは平均サイズの動物クリニックで話を聞くと、だいたい日に1件ぐらいの割合で安楽死(すべての小動物を含め)を行なっているということだ。病気に罹ってある程度治療を施し、それでも回復の見込みがない場合、獣医師が安楽死の選択を飼い主に提案することは全く珍しくない。

「今後の治療には金銭的におよそXXXかかります、どちらを選択しますか」

などと質問を受けるものだ。

ペット安楽死の経験者である、犬曰く編集部スタッフ尾形、藤田(スウェーデン在住)、および安楽死も選択肢の一つに考えるというオーストラリア在住の五十嵐で、「日本におけるペットの安楽死と犬文化」という主題でディスカッションを試みた。我々はいずれも、「安楽死が唯一正しい選択肢」

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