文:尾形聡子
[photo by Bryan Rosengrant]
「責任ある犬の飼い主になりましょう」
飼い主責任という言葉が広く使われるようになってから、このようなメッセージと共に犬や猫などの動物を飼育するにあたって飼い主の責任ある飼育を促進する啓発活動があちこちで行われています。環境省のサイトでは飼い主に向けて、
動物を飼うことは、動物の命を預かることです。飼い主は、動物が健康で快適に暮らせるようにするとともに、社会や近隣に迷惑を及ぼさないようにする責任があります。人と動物が共に生きていける社会の実現には、飼い主のモラルとマナーが必要です。
と記され、責任ある飼い主であるための「守ってほしい5か条」が掲げられています。さらに、これからペットを飼う人に向けては、
ペットを飼うことは、その一生に責任をもつことです。ペットを飼う前に、ほんとうに飼い続けられるか、家族みんなで話し合いましょう。
と、冒頭にうたわれています。
「責任を持って犬を飼いましょう」(以下、飼育動物は犬のことだけに絞ってお話します)という社会的方針は日本のみならず世界各国でも共通しているもので、もれなく飼い主責任についての認識を広めるためのキャンペーン活動や啓発活動が積極的に行われています。なぜならそれは、動物の福祉に関する問題、そして無責任とされる飼い主の行動が引き起こす社会的問題を解決するために他なりません。しかしこのような運動は、はたしてどの程度飼い主の責任ある行動の促進にプラスに働いているものなのでしょうか。
英国リバプール大学の研究者らは、「責任ある犬の飼い主」という概念がどのように認識され、解釈さているかを