レア犬種のブリーダー探し、ここに気をつけたい

文と写真:藤田りか子

こんな見たこともない犬種が欲しい!となるとブリーダーを探さなければならないのだが、その際にブリーダーの質をチェックするのも大事です!

私はスウェーデンでフィールド系のラブラドール・レトリーバー(以下フィールド系ラブ)と暮らしている。フィールド系というのは狩猟のための作業の才能を元にブリーディングされたラブラドールであり、普通に見かけるラブラドールとは気質がやや異なる(詳しくはこちらを参照)。そしてあまり数がいるものではない。ある日単なる好奇心で「日本にフィールド系ラブをブリーディングしている人がいるのかな」とグーグル検索をしてみた。

いくつかの犬舎は実猟につかっていたりとその犬の性能を元にブリーディングをしていた。だがある犬舎のウェブサイトでは

「両親は共に英国FT系(=フィールド系)ラブラドール・レトリーバーです。優秀な子犬が産まれております」

とだけ記されていた。ブリーディングのことをあまり知らず初めてフィールド系ラブを得ようという人なら

「じゃ、この犬舎から買えば、大丈夫!」

とすぐに確信してしまうかもしれない。だが、私はしばし犬の世界にいる者なのでこのようなキャッチにそうそう感銘は受けない。何と言ってもこの犬舎のラブラドールについての謳い文句は後にも先にもこれだけで、では両親がどのような実績を残したのか、他の子孫がどんな風な働きをみせているのか、全く記載がなかった。

確かに両親ともにフィールド系の親から生まれたのかもしれないが、それだけで犬の優秀さは保証されない。フィールド系と言っても、オンとオフのスイッチを持っていない子(=始終ハイパー気味)やレトリービングの意欲さえない子もいたりと、必ずしも全てが作業犬として好ましい質を持っているとは限らない。フィールド系であればなんでもいいといわんばかり、犬をデタラメに掛け合わせても優秀な作業犬はそうそう簡単には生まれない。

作業犬とは気質や素質を選り抜きながらの入念なブリーディングがあって初めて誕生する。これはショードッグのブリーディングについても同様だ。「この母犬の祖先はチャンピオンです」というようなPR文句で子犬を売ろうとしているものだが、祖先がチャンピオンというだけで母犬の質は保証されない。次の世代にて「優良な子」を出そうとするのであれば、チャンピオンの子孫からさらに選り抜きを行わなければ達成はできない。

フィールド系ラブに限らず、作業犬が欲しい場合は両親の経歴を確かめることだ。そして何よりも実際に見に行って両親(母犬だけでもいい)の気質を見定めるのが大事だろう。そしてもちろんブリーダー自身が本当に作業のトレーニングをしている人なのか。何もしていない人が作業犬の良し悪しを判断できるはずがない。〇〇系とかXXの血統というブランドに踊らされずに冷静に犬と犬舎を選ぶべきである。

ウェブサイトに両親犬の競技会タイトルやキャリア、実際に働いている様子などが示されている犬舎が好ましい。ただそれだけでは絶対に保証にならないので、自分の目でみて確かめる必要は大いにあり!

日本であまりなじみのない系統や犬種のブリーダーを選ぶ上でもう一つ気をつけるべき点は、どのような掛け合わせをしているか、ということ。たとえば、日本にあまり数がいないわけだから、近親交配度(近交係数)が高くなっている可能性もある。ついこの間ウェブで見つけた犬舎(レア犬種の犬舎)は同じ個体を何度も使って子犬を出していた。さらに翌年には前年と同じコンビネーションで交配していたりする。このブリーダーは本当に犬種のことが好きなのだろうか。将来の犬種の健全性を真面目に考えているのだろうか?

数が少ないにもかかわらずこんなブリーディングを繰り返していると、そのうち日本におけるその犬種の人口は、同じ親の血を引いた個体で溢れるだろう。要はその犬種全体が血縁の強い親戚だけで構成されてしまうことになる。そうなると、いくらランダムに掛け合わせても結局血縁同士の交配となり、近交係数は高まる一方だ。稀少犬種こそ親犬を乱用してはいけない。犬種の健全性を考えればNG行為なのだ。お金をかけてでもさらなる新しい血を外国から入れようとしている、あるいは他のブリーダーと協力をして血を交換しようとしているような犬舎がより好ましい。

ヨーロッパのいくつかの国ではケネルクラブまたは犬種クラブがいい加減なブリーディングにならないよう監視の目を光らせていたりするものだ。が、日本にはそのシステムがまだほとんどないに等しい。個人が知識を増やしてブリーダーを淘汰していくしかないのだろう。

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