におい刺激がシェルター犬の福祉向上に

文:尾形聡子

[photo by Pedro Lozano]

動物園動物の飼育環境を改善しようとするところから始まった考え方、環境エンリッチメント。犬曰くの読者のみなさんには、環境エンリッチメントという言葉がそろそろお馴染みとなってきているのではないかと思います。参考までにウィキペディアには以下のように書かれています。

環境エンリッチメントとは、動物の福祉と健康のために、飼育環境に変化を与えること、飼育動物に刺激や選択の余地を与え、動物の望ましい行動を引き出すこと、刺激不足の環境において、種に適切な行動と心的活動を発現させる刺激を与えることなどと定義される。

先日の藤田さんの『ビビリの犬は動物ウェルフェアに関わる問題です』では、子犬時代に受けるさまざまな環境刺激がその後の犬生に重要であることに触れられていましたが、環境エンリッチメントは母体の中にいるときから、そしてこの世に生まれて命をまっとうするまでずっと、犬たちに必要とされつづけるものです。犬に関する環境エンリッチメントについて、詳しくは『犬にとっての環境エンリッチメントとは?~藤田りか子さんセミナーレポート(2)』をご覧ください。

一般の家庭犬たちにも環境エンリッチメントの考え方は大切ですが、やむなくシェルターで暮らす状況に置かれている犬たちにとっても同様に大切です。むしろ、シェルターという場所で環境の刺激の少ない生活を強いられているからこそ、慢性的にストレスを抱えがちになることは想像に難くないでしょう。

そんなシェルターで暮らす犬たちに、環境エンリッチメントのひとつである嗅覚の刺激がどれほど有効であるかを調べた英国発の研究が『Applied Animal Behaviour Science』に発表されました。

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