ボーダーシャツには注意が必要?犬が洋服のパターンに見る警告色

文:尾形聡子

[photo by Ken Walton]

哺乳類、植物、昆虫などの生物に広く見られる警告色。一般に派手な色彩、はっきりとした縞模様などを体表に持つ生物の多くには毒があり、捕食者から自らを守る役割を果たしています。毒蛇や毒きのこ、毒カエルに見られるようなのおどろおどろしいまでに艶やかな色彩や柄は、まさに警告色として広く知られているものです。身近な昆虫ではてんとう虫やハチ、毛虫などの体色、スカンクの白黒の毛色も警告色であることが示されています。さらには私たちの暮らす社会の中にも信号機や踏切など、警告色の原理を利用して危険をより強調して示すために黄色や赤色が多く使用されています。

色の感知能力は生物種によってことなり、5色の波長を感知できる蝶や鳥もいれば、人は3色型色覚、犬は2色型色覚であることがわかっています。人と犬とでは色の見え方こそ違いますが、コントラストのはっきりした柄を持つことも警告色の重要な要素のひとつです。はたして犬は世の中に存在する警告色をどのように感じているのでしょうか。それを私たちが普段着ている洋服に見いだすことがあるのかどうかを調べた論文が、1997年『Anthrozoös』に発表されています。

縦?横?太さは?犬が最も不安に感じるストライプは?

最初の実験では、シャツ以外は黒い洋服をまとったひとりの男性が数パターンのシャツを着て、犬の保護施設にいる22頭それぞれのケンネルの前をゆっくりと歩き、各ケンネルの前で8秒間静止しては次に進むという実験を行いその様子が録画されました。テストに使われたシャツは縦または横の黒白の長袖シャツで、ストライプの幅が1センチのもの、4センチのもの、不均一なストライプのもの、無地のものでした。

その結果、犬たちはストライプの幅が最も狭いシャツに対して強い反応を示し、無地のシャツのときが一番無反応でした。また、縦縞と横縞を比べると、横縞の方がわずかに反応が強かったようですが、それほど大きな差はなかったそうです。また、細いストライプのシャツに対して犬たちは不快感や不安感を示すような行動をとり、主に服従的な感情が示されていたそうです。

2回目の実験では、保護施設の犬を10頭、大学関連の繁殖ユニットからの15頭を対象に行われました。シャツは、黒白1センチの横縞、白地に直径1センチの黒い水玉模様、無地の3種類をひとりの女性が着用しました。その結果、最初の実験と同様に、細いストライプに対して最も服従的な態度をあらわし、無地のものへの反応が一番低かったそうです。

これらの結果より、犬は見知らぬ人が近づいてくるとき、細い横縞の服を着ている場合にもっとも不安感が増大して親近感が減少する傾向にあることが示されたとしています。そして実際にシェルターの犬を迎えようとしているときには、犬の本来の気質を見るのに影響を与えないような洋服を選ぶようにするのが望ましいかもしれません。

暖かくなっていくこれからの季節、徐々にボーダー柄のシャツなどを着る機会が増えていくことと思います。しかし、初めて会う犬などに不安感を与えないようにする必要があるときには、細い縞でコントラストがはっきりしたボーダーシャツを着るのはなるべく避けるのがベターであろうことを頭の片隅においておくのがよさそうですね!

(本記事はdog actuallyにて2015年12月3日に初出したものを一部修正して公開しています)

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【参考サイト】

Psychology Today