タロハナ毛刈り紀行(後編)

文と写真:尾形聡子

最近のタロウのBefore&After。頭の一部を除いては、ほとんど3ミリの刃で毛刈している。

前回、丸刈りにして大変な目に遭ったことをお話ししたが、こうして私は自分で丸刈りをする決意をした。二度とあんな不穏な雰囲気になって欲しくない。そのためには、一方の犬が刈られている様子を、もう一方の犬に見せる必要がある。

どれくらい伸ばすかにもよるが、SWDはだいたい年に1〜2回毛刈りをする。次に毛刈りをするのは半年後くらいになるから、それまでには何としてでも毛刈りを習得しなくてはならない。トリミング学校に行くべきか、誰かに教えてもらうことはできないか、さてどうしようかと迷っていた矢先、運よく知り合いのPWDの飼い主さんにバリカンの使い方を教えてもらえることになった。毛刈り当日はうちに来てもらい、タロウの目の前でハナの毛刈りを実演してもらった。私も初めてバリカンを握り、使い方や注意すべき点などを丁寧に教えてもらうことができた。それから私の毛刈り人生が始まり、トリミングのせいでタロハナ間に不穏な空気が流れることは一切なくなった。

こんな具合にゴロゴロ床に寝そべりながら。ハナの毛刈の様子。

自宅毛刈りのいい面、悪い面

タロハナの毛刈りを続けて、自分なりに感じたいい面、悪い面を挙げてみたいと思う。まずは、悪い面から。

・労力がかかる

うちにはトリミング台がないので床で毛刈りをしている。そのため、寝そべったりしている犬たちの体勢に合わせて毛刈りをしなくてはならない。終わった直後は背中がバキバキ、もれなく筋肉痛になる。体力はもちろんだが気力も必要。うっかり気を抜いてやっていると、怪我させてしまいかねない。

・トリミングされるストレス(拘束ストレス)

トリミングをするにはどうしても拘束する必要がある。それが店で行われる場合と、家とでは、拘束されるストレスだけを考えた場合、どちらがストレス少なくできるのか、比較するのはちょっと難しいところだ。

・仕上がりの美しさ

プロには逆立ちしてもかなわない。しかし、かなりの虎刈りになったとしても、あっという間に強いくせ毛がそれをカバーしてくれるので個人的にはまったく気にならないし、タロハナにとっても同様だろう。

悪い面はこれだけ。一方でいい面はというと、

・拘束されつつも犬もある程度好きにしていられる

ウロウロされると部屋中が毛だらけになるので、ある程度の範囲で毛刈りをしている。しかし、トリミング台に乗せられるわけでもなく、どこかに繋がれるわけでもなく、普段寝ている床でやっているため、好きに寝そべった状態での毛刈りになる。

・犬の体がよくわかるようになる

全身を丸刈りするので、犬の体を隅から隅までとてもよく観察できる絶好の機会となる。PWDの飼い主さんに毛刈りを教わっている時に分かったのは、PWDとSWDでは目と目の距離が違うこと。SWDの方が広いそうだ(つまり目が離れている)。これはもしかしたら、SWDがハーディングを仕事とするようになってから、ヒツジやヤギの動きを少しでもキャッチしやすい目が離れている個体の方が仕事がよくできて、それが脈々と受け継がれてきた結果なのかな、とも推測してみたりしている。

・どこを触られてもある程度我慢してくれるようになる

敏感な足の裏などはどうしてもピクピクしてしまうが、それでも全身くまなく触ることになるので、たとえ嫌でもある程度じっとしていようと頑張ってくれるようになる。

・費用がかからない

バリカン代や刃のメンテナンス費用はかかるものの、自分の体と電源さえあればOK。タロハナサイズにもなってくるとトリミング代もかなりの金額になるため、お財布にとても優しい。

・好きな時に好きなタイミングでできる

思い立ったが吉日。好きな時に毛刈りすることができる。予約不要なため、急にお腹を壊したりしても日程変更しなきゃと慌てずにすむ。私はシャンプー後にドライヤーを使わないので、基本的に天気の良い日を選んでやっている。

・毛刈り直後の晴れ晴れとした様子を実感することができる

どうしても絡まりやすい脇や股がスッキリすると、やはり動きやすくなるようだ。毛刈りの拘束ストレスから解放されるのも手伝い、毛刈り後はもれなくウキウキした様子を見せる。

改めて列挙してみたものを見ても、自分で毛刈りするメリットは大きいように思う。そしてなにより、毛刈りというコミュニケーションを通じて“毛刈りした間柄”になれるのがいい。犬にとって毛刈りはあまりされたくないことかもしれないが、その作業を一緒にすることで、より深い信頼関係を築いていくことができるのだ。

【関連記事】

タロハナ毛刈り紀行(前編)
文と写真:尾形聡子 パピーコートをトリミングする前のタロウ。それなりに毛の癖は出ているが、まだまだウェービーな感じ。 ひと昔、いや、ふた昔...