文:尾形聡子
[photo by Toa Slim 2014]
ようやく過ごしやすい気候になったと思っても、気持ちのいい秋の季節はあっという間に過ぎ去ってしまうものです。極度に寒がりな愛犬と暮らす飼い主さんにとっては、これからやってくる冬の季節は夏とはまた違う気遣いが必要、という場合も少なくないのではないでしょうか。
愛犬が寒がっているのを知るサインに「震え」があります。寒さによる震えは人にも犬にも共通して見られる生理現象で、体を震わせることによって熱を作り出し、体温を一定に保つよう調整しています。
とはいえ、寒くなくとも震えが見られることがあります。ほかにはいったいどんな原因があるのでしょうか?
震えの原因アレコレ
震えは病気やけが、精神的なことが原因となっている場合があります。
病気が原因となる震えのひとつは、「熱」。高熱が出ているときに震えが止まらないのは体が自然にとっている防御反応です。震えることでさらに体温を上げ、体内の細菌やウイルスなどを撃退しようとしているために起こります。
熱だけでなく、ホルモン異常や神経系疾患、筋疾患といったさまざまな器官の病気も震えを引き起こします。また、大けがをしたときや慢性的に抱えている痛みが原因となり震えをみせることがあります。しかし痛みがあれば必ずや震える、というわけではなく、痛みを感じている犬がみせる可能性がある症状のひとつという位置づけになります。
中毒を起こしているときも、神経症状のひとつとして震えがみられることがあります。犬が中毒を起こすものにはチョコレートや玉ねぎ、キシリトール、レーズンなどの食べ物から、自動車の不凍液や除草剤、殺虫剤などの薬品までさまざまなものがありますので、そのようなものを犬がうっかり口にしてしまわないように管理することが大切です。
犬によくない食べ物については以下のブログをご参照ください。
加齢による筋力低下も震えを引き起こします。高齢犬では特に後肢の震えがよくみられることがあるでしょう。
また、興奮や不安、恐怖など、精神状態が原因となって震えが出てくることがあります。雷や花火などの大きな音、苦手な犬や見知らぬ人に遭遇したとき、グルーミングが苦手な犬が爪切りをみたとき、動物病院が怖い犬が病院に連れていかれたときなど、犬によって精神的ストレスを感じる要因はさまざまです。
これらに当てはまらず、そして寒くなくともとりわけ小型犬には震えが見られることがあると聞きます。しかし、この小型犬特有であろう震えについては現在のところその原因は分かっていないようです。
[photo byromana klee]
震えをみせる原因は多岐にわたるため、パッと見だけでは震えの原因を判断するのは難しいものです。さらにこれからやってくる寒い季節では、寒さが原因となる震えと、それ以外が原因となる震えとの区別がつきにくくなっていくでしょう。
寒くなくても愛犬が頻繁に震えをみせるようならば、震えるときの状況や体調、震え方などをしっかり観察して、動物病院で診察を受けるようにしてくださいね。震えを単なる震えとして見過ごしてしまわないよう気をつけましょう!
(本記事はdog actuallyにて2016年3月3日に初出したものを一部修正して公開しています)
【参考サイト】
・SPOT SPEAKS
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