愛犬の写真、一日一枚撮り続けるプロジェクト!

文と写真:藤田りか子

愛犬家というのは実際どれぐらいの頻度で愛犬の写真を撮っているものなのだろう。私を含め犬関係の友人などは、ほとんど毎日のようにスマートフォンを愛犬に向けているようにも思える。そこで考えついたのだが、「一日一枚、犬の感情を表す写真を撮ってみよう!」という自分プロジェクトなどはいかがだろう。

毎日写真を撮る、ということの利点は、まず犬を観察する眼が磨かれること。どの表情を撮ろうかなぁ、と一日のうちに何回も考えて犬を見ているものだ。さらに、プロジェクトにはおまけがある。それは写真の腕が磨かれる、ということ。写真を毎日撮るということは、つまりマンネリ化しないよう、つねに新しい構図とか意外なアングルを考えつかなければならない。これは、け〜っこう、想像力と創造力が要されるし、試される。

実はこのプロジェクトの発想のきっかけとなったのは、デンマークのドッグトレーナーであるヴィベケ・リーセさんの「いぬ語の会話帖」という本の制作に携わったことから。今まで出した3シリーズのボディランゲージ・ブックとは異なり、この本では連続写真では見せていない。瞬間瞬間に犬がみせる表情を一枚の写真に捉え、ボディランゲージとしての解説をくわえている。

「とつぜんあくびをするのはどうして?」
「何故、急にプレイバウをし出すの?」
など日常の素朴な疑問に答えながら、ボディランゲージを解説する。もちろんあくびには、たくさんの意味がある。その解釈の仕方は状況によってニュアンスを汲むしかないのだが、その中の一つでも知識を持っていれば、別の状況での意味を知ろうとするきっかけにもなる。何気なく見ていて普段何も気にしなかった犬のしぐさには、たくさんの感情が込められているのをこの本によって初めて知る人も多いはずだ。

やや、くわばらくわばら、ああ、なんだか居心地悪かった。私はさっさと逃げるわよ!とフレンチブルドッグのネリー。

「一日一枚、犬の感情を表す写真を撮ってみよう!」のルールはただし一枚だけ取ることだ。その一枚だけで犬の感情を表現してみる。難しいように聞こえるが、犬のボディランゲージの知識があれば実は意外に簡単だ。もちろん写真を見る側にもボディランゲージの知識があれば、写真の深みはもっと増すはずだ。さらに以下のようなルールを自分に課してみた。

1. 絶対にポーズをとらせない、ということ
何しろ、ボディランゲージを捉えたいのだ。感情を捉えたいのだ。ポーズをとらせたら、「注意を向けているときの表情」か、「早く終わってちょうだい」という耳が後ろにいった写真しか撮れないだろう。

2. スマートフォンかコンパクト・カメラで撮る
一眼レフでいいレンズを使って撮る方が、犬の場合はいい。よく動くから速いカメラであれば、瞬間を撮れる。そしてボケもよく効く。しかし、いつも一眼レフを携えているわけにはいかない。散歩に行こう!といった瞬間の顔を撮りたいときもあるし、急に草むらのにおいに反応して止まった時の画も撮りたい。スマートフォンやコンパクトカメラとなると、構図で勝負。しかしそれを考えるのは、楽しい。誰かに見せるわけでもないし、自分の楽しみでやっているから、写真の質などこの際関係ないのだ。写真と犬の行動を含めて、あくまでも、勉強、勉強…。

毎日一枚撮っているというのは、あとで見返すと、きっと日記にも似た楽しみが得られると思う。その時の場所とか、天候、においなんかも、意外に写真に残されている。そして愛犬の毎日が記録される、というのはその歴史がずっと手元に残るということ。でも、死んじゃった時に、悲しすぎて見返すことができないかもしれないけれど。

こんな日常の一コマでも、犬の面白い表情を捉えることができる。ボールに残ったポテトチップスをとても欲しそうに見つめるラッコ!

もし犬の表情をどう読んだらわからない、という人がいれば、前述の「いぬ語の会話帖」は「一日一枚、犬の感情を表す写真を撮ってみよう!」プロジェクトを行う上で大いに参考になると思う。この本でボディランゲージの画像を頭に一度インプットしておくと、同じようなシーンを愛犬の中に見つけられるかもしれない。私は私の勝手な撮影ルールを作ったが、各自、ルールは自分の生活に合うものを作ればよし!そして今日から365日たったその時、みなさんの手元には立派な「Myいぬ語会話帖」ができていると思う!

(本記事はdog actuallyにて2014年7月2日に初出したものを一部修正して公開しています)