犬の認知能力に犬種差はある?

文:尾形聡子


[photo by James Haworth]

犬の認知能力には遺伝的な影響があることや、犬種によって特定の認知課題への取り組み方や成績に違いが見られることが、これまでの研究で示されています。その一方で、犬の認知能力は「犬種」だけで決まるものでもありません。犬それぞれの個体差はもちろん、経験や生活環境なども、認知課題で見せる行動に影響します。

それについては犬曰くでもこれまでに数々の記事で発信をしてきました。藤田りか子さんが「犬の指差しに対する理解力、認知能力なのか学習なのか?」にて紹介しているように、犬の認知能力研究が世界的に注目される足がかりにもなったのが「指さし」についての研究です。また、「犬のインパルス・コントロール、うまいへたは遺伝か学習か?」では、どのような認知能力が遺伝しやすいのかどうかを調査した研究を紹介しています。

その記事にもあるように、犬の認知能力と一言でいっても、人の指差しなどの社会的な手がかりを読み取ること、目の前の誘惑に反応するのを抑えること、記憶すること、問題を解決することなど、さまざまな認知機能が含まれています。そのような認知機能の一部には、犬種がどのような作業を担ってきたかという歴史が影響している可能性も、これまでの研究から示されています。たとえば人と協調して仕事をするのか、あるいは人から離れて自分で判断しながら作業するのか、それぞれに求められてきた能力は異なるものです。

犬の認知能力に遺伝や環境がどのように影響するのかについては、遺伝子研究や行動テストなどを通じて数々の研究が行われています。今回はその最新情報ともいえる、オーストラリアとアメリカの国際研究チームが行った研究を紹介したいと思います。

10犬種の犬たちに5つのテスト

今回の研究に参加したのは、チワワ、ジャーマン・シェパード、マルチーズ、シベリアン・ハスキー、ボーダー・コリー、ボストン・テリア、ジャック・ラッセル・テリア、ゴールデン・レトリーバー、ピットブル、ラブラドール・レトリーバーの10犬種です。もともとは犬種による

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