犬種によってこんなに違う犬の腫瘍(前編)イギリスの腫瘍レジストリはどのように生まれたのか

文:尾形聡子


[photo by Eric Isselée]

犬の死因として、がんは大きな割合を占める病気のひとつです。

犬の寿命が延びるにつれ、がんに直面する機会も増えてきました。人でも同じように、感染症よりも生活習慣病や慢性疾患が大きな割合を占めるようになっていますが、その中でもがんは主要な死因として広く知られています。

そして興味深いことに、人と同じ環境で暮らす犬もまた、似たようながんを発症します。犬は人と同じ家庭環境の中で同じ空気を吸いながら生活し、生活リズムを共にしながら歳を重ねていきます。そのため犬のがんは、人のがん研究にとっても重要な手がかりを与える可能性があり、「比較腫瘍学(comparative oncology)」と呼ばれる研究分野では、犬は重要なモデル動物として位置づけられています。

犬のがんには人にはみられない、もう一つの特徴があります。それは犬種による違いが非常に大きいことです。

犬は人為的な選択によって、体の大きさや形、被毛の特徴などが大きく異なる数百の犬種に分かれています。この遺伝的背景の違いは、

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