文:尾形聡子

[photo by Andrea]
犬は人ともっとも長く共生してきた動物です。そして、同じ種の中で、非常に多様な姿形を持つ動物でもあります。家畜化されてのち、人は犬を特定の使役のため、あるいは野生動物との区別がつきやすくするためなど、さまざまな目的をもって人為的に繁殖してきました。その結果として生まれた犬の見た目の豊富なバリエーションは、実は先史時代にまでさかのぼる可能性があることも示唆されています。その中でも、毛色はとくに人の目に入りやすい特徴のひとつです。
視覚に頼る人間にとって、犬の毛色は野生動物と犬の識別に役立つだけでなく、珍しい毛色は審美的な面からも、人の興味関心を高めてきたと考えられます。現代の犬では、野生動物との区別がつきやすい毛色であることよりも、コンパニオンアニマルとして好ましいと感じられる毛色や、希少性のある珍しい毛色が重視されるようになっています。一方で、特定の毛色と健康上の問題との関連が、少しずつ明らかにされてきました。
毛色は確かに、人の好みが反映されやすい特徴です。しかし、その選択が犬の健康や福祉にどのような影響を及ぼし得るのかは、いま、あらためて考える必要があるテーマになっています。
なぜ毛色の違いが、目や耳の健康状態にも影響するのか
犬の毛色は「メラニン」という

