文:藤田りか子
[Photo by Nathalie SPEHNER]
犬同士の挨拶を観察調査
ガウガウせずに犬同士が穏やかに出会うとき、まずどんな風に彼らは会話を開始するかを観察したことはあるだろうか?人の挨拶とは明らかに違うのは、当たり前のことであるが、言葉を交わさないこと。人は、まず視覚で相手を認識し、その後「こんにちは〜」と言葉による会話が始まり、相手のことをちょっと知ろうとする。犬も最初は視覚で認識するものの、近づくにつれ嗅覚をフル活用し(もっとも遠くにいるときから、視覚+嗅覚を使っているが)、最終的には相手をにおいで確かめるため「クンクン」を行う。
たかが「クンクン」、されど「クンクン」。この犬独特の挨拶行動に、チェコの研究者たちが注目した。彼らは「犬同士がどのようにクンクン挨拶行動を行っているのか」を調査するために、公園を散歩する飼い主と犬、そして出会った犬のやり取りを細かく観察した。そんな行動知ってどうする?と思われるかもしれないが、犬の嗅覚をめぐる感情や認識の世界を理解するうえで、とても興味深い報告なのである。
そして何よりも、犬の初心者からよくこんな質問を受ける。
「犬同士のボディランゲージは、どう読めばいいのですか?」
確かに、漠然と眺めているだけでは「どこを基準に読めばいいのか」、特に犬の経験がなければわかりにくいかもしれない。たとえば次に示す一連の犬同士の動きを、ご覧いただきたい。