文:藤田りか子
[Image by Martine Auvray ]
かなり前の話になるが犬のボディランゲージを学ぼうというセミナーにて、アニマル・コミュニケーターのA・Oさんに出会った。A・Oさんは彼女のテレパシー能力によって、動物と会話ができるということで有名で、何度かスウェーデンのマスコミに登場していた。スウェーデンの首都ストックホルムに、さまざまな行動問題を抱える犬、猫、馬、そしてヒトの赤ちゃんや幼児のセラピークリニックも開いている。コンサルタントのみならず、彼女のテレパシー能力開発の教室も大繁盛であった。
私が参加した犬のボディランゲージ教室それ自体は、犬の感情がどう行動に表され、犬同士がそれにどう反応するのか、続く行動を見てみよう、という趣旨のもの。担当した先生もリネー・フェーベリーさんというテレパシー能力とはまったく関係ない分野の方だったのだが、この教室を主催したのが、A・Oさんであった。
「私のクライアントは動物とコミュニケーションをとることにすごく興味がある人が多いので、テレパシーではなく、行動だけで動物を解釈すると実際にどんな風に行われているのか。そんな意味で今回犬のボディランゲージ教室を開いてみたのです」
私はリネーさんの「行動を観察することによって動物を解釈する」、という方に断然興味を持ってこの教室に来ていたので、A・Oさんのテレパシーで動物とコミュニケーションという発言に天と地がひっくりかえるほど驚いた。
「そんなものが本当に存在するものか!」
半ば懐疑的、それゆえの好奇心が手伝いこの機会をいいことにA・Oさんにインタビューを試みた。
テレパシー能力を信じる、というのは多くの人にとっても難しいことであろう。しかしこの世に、多くのアニマル・コミュニケーターなる人々が存在しているのも、また事実である。火のないところに煙はたたぬ、ではないが、私のようなスピリチュアル能力に欠けた者にはとうてい把握が及ばない何かがコミュニケーターの世界にはあるはずだ。自分としてはテレパシー能力を信じる、という境地までには至らないのは承知であった。しかし犬をはじめ、動物を理解するための何かキーなるものを学べるはず。頭から拒否していたら、自分が知らない何かを逃す。学ぶもの、常に気持ちをオープンであれ。
[Photo by Luke MacGillivray]
A・Oさんのクリニックで一番多いクライアントは、やはり犬に関わっている人だそうだ。たとえば問題行動を抱える犬の飼い主とその犬。A・Oさんがテレパシーにて犬に何故その行動をとるのか質問すると、犬は答えてくれるという。たとえば、車に入ったとたんにパニックを引き起こす犬がいるとする。犬が何に対して、心配をいだいているのか。その原因をテレパシーによって聞いてみる。そこで原因となるものを取り除く。と、たいてい問題行動は消滅するのだそうだ。
「だれもがテレパシー能力を持っているのですよ。でも私たちは、大人になってしまって日常のゴタゴタに流されている。そして現代の急テンポで何もかもが進むという世界に住んでいるわけですね。全てが機械化、簡易化され、文明化が進みすぎてしまった。よって人間は本来持っていた原始的な能力を失ってしまっているのです。甘やかされすぎたといえばいいでしょうか」
だから自然に近く暮らしている人々、たとえばオーストラリアのアボリジニーとか、北欧の北極圏に住むサーメ人には、今もってスピリチュアルな世界が存在するし、自然に対して体と脳が都市生活に慣れた我々よりももっと敏感に反応するそうだ。
この続きはまた。