何でも鵜吞みにしちゃ駄目! 「疑問を持つ目」が生んだアニマル・エージェンシー

文:北條美紀


[Photo by Vitalii Khodzinskyi]

犬の世界もウェルフェアからウェルビーイングへ:アップデートし続ける動物福祉」の記事で取り上げた論文の中に、私には初見の「アニマル・エージェンシーanimal agency」なる言葉が出てきた。エージェンシーを辞書で調べると「会社」や「代理店」などの訳が出てきてしまうが、心理学領域では「主体性」っぽい意味で使われていたような記憶が…。何でも横文字にすればいいってもんじゃないんだよと思いつつ、あやふやなままでいるのも悔しい。そこで今回のテーマは、謎の言葉、エージェンシーだ。

そもそも、この論文の中では、

  • 動物が報酬につながる行動を取る際に感じる喜びなどのポジティブ感情全般を「積極的充足(positive affective engagement)」と呼び、
  • その中には遺伝的にプログラムされた行動だけでなく、学習された行動から得られる期待や目標達成、成功の記憶などのポジティブ感情も含まれる

と前置きした上で、

  • 「積極的充足」は、動物がアニマル・エージェンシーを発揮している際に感じる喜びなどのポジティブ感情と一致している点が重要だ

とし、

  • アニマル・エージェンシーとは、動物が自発的に目標に向かって行動することであり、自分がコントロールしているという感覚と関連している

と説明されている。

人の世界のエージェンシーとは

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