自らの子ども時代の養育経験は、犬への養育スタイルとして再現されるのか?

文:尾形聡子


[photo by ivanko80]

人間の親子のような愛着関係を犬と飼い主が構築することが2013年にウィーン獣医大学の研究により科学的に示されてからというもの、犬と飼い主の愛着関係に関する研究が盛んに行われるようになっています。それには、犬と人のふれあいにより両者から「オキシトシン」と呼ばれる絆ホルモンが放出されていることが示されたり、犬や猫などのペットが「家族システム」を構成するメンバーとして、要するに家族の一員として広く認識されるようになったことも大きく影響を及ぼしています。

犬曰くでも愛着関係に関する数々の記事を紹介してきましたが(「愛着関係」に関する記事一覧はこちらから)、そもそもは人の心理学分野で蓄積されてきた研究に該当するため、臨床心理士である北條美紀さんの記事にもたびたび登場しています。愛着関係は当人の他者に対する傾向によっていくつかの「愛着スタイル」に分類されています。それについては北條さんの「愛犬へ健全なケアを提供するために 愛着とケアギビングをしっかり理解しよう! その1:愛着システムの全体像」を、そしてそれが実生活の上でどのような形で働いてくるのかは「愛犬へ健全なケアを提供するために 愛着とケアギビングをしっかり理解しよう! その2:愛着システムと対をなす「ケアギビング・システム」」にて復習していただくとして、さらにそこには、親や保護者などの養育行動の傾向を示す「養育スタイル」というものが関わってきます。

人が犬に対してとる、子育てスタイルならず犬育てスタイルについての研究は愛着スタイルと比較すると限られていて、特定の養育スタイルがどのように生じているか、それが犬にどのような影響を及ぼしているかなどについてはまだあまり明らかになっていません。人の親子関係と犬と飼い主の関係に共通する「大人に大きく依存して生活をする」という点に注目した英国グラスゴー大学とスターリング大学の研究者らは、飼い主自らが子ども時代に受けた養育スタイルが、自分が犬を養育する際の姿勢に何らかの影響を及ぼしているかどうかを調査

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