文:尾形聡子
[Image by Matthias Koll from Pixabay ]
高齢になれば増えてくるのが病気というもの。少しでも健康寿命を長くし、生活の質(QOL)を維持できるように病気の発症を未然に防いだり、病気を重篤化させないようなるべく早く発見しようとする予防医療の取り組みが広く行われています。人だけでなく、高齢化が進む犬においてもその重要性が謳われるようになっています。
犬の予防医療のひとつが、犬における「フレイル」についての研究です。フレイルとは、年齢とともに身体機能や認知機能が低下していき、健康な状態と要介護の状態の間の段階のことを指します。要介護状態にならないよう、フレイルのなるべく早い段階で介入すれば、元の健康な状態に戻れる可能性のある重要な期間とも言えます。
フレイルについて詳しくは「高齢犬のための「フレイル」評価ツールが開発される」の記事で紹介しているのでご一読いただければと思うのですが、犬のフレイル研究はまだまだ数が少ないのが現状です。前述したようになるべく早い時期にフレイルに介入することが元の健康な状態に戻る可能性を高めます。逆に、フレイルの状態を見せている犬に何もしなければ負のスパイラルに陥り、一気にフレイル状態が悪化する恐れもあります。また、ネグレクトまではいかずとも、若いうちから適切なケアをしない、運動量が確保できていないような状況で日常生活を送り続ければ、フレイルになる時期も早まることでしょう。
定期的に獣医師に診てもらい、適切に評価してもらうことも大切ですが、日常生活をいかに送るか、犬のフレイルの状態に飼い主が気づけるかというところが大切です。たとえば歯のケアに関しては、犬の歯をみがかなければ歯石がたまっていき歯周病になりやすくなるのですが、気づいたときには口から悪臭が…というのはよくあることです(歯磨きの重要性についてはこちらの記事をぜひ!「歯医者さんが語る「犬もぜーーーったいに歯磨きをするべし!!」のその根拠」)。
歯や口腔内の健康を保つには歯磨きが必須ですが、ではフレイルにならないようにするためには何が必要なのでしょうか。そこで今回は、フランスのトゥールーズ大学の行った研究を紹介したいと思います。研究者らは、「一見健康そうに見える」シニア犬を対象として犬のフレイルの特徴を明らかにし、どのような要因がフレイルと関連しているかを調査しました。
フレイル発症と関連している要因は?
研究対象となったのは