見つめ合ったり撫でたりすることで、人と犬の脳活動は同期する

文:尾形聡子


[photo by progressman]

人間社会において他者とのかかわりは避けて通れないことです。社会的な相互作用はあらゆるところで生じ、人と人はつながり、心を通わせ合います。相手に共感したり、理解を示したり、他者の様子を見て心のうちを類推できるようになるには心の理論が必要となりますが、心の理論は主に脳の3箇所の部位(上側頭溝、下外側前頭前野および前部帯状回/内側前頭前野)が司っていると考えられています。

心の理論は人以外の動物にはないのか、とりわけ進化的に人の前身でもある大型類人猿を対象に長年研究が続けられていますが、以下の京都大学野生動物研究センターの研究によれば、チンパンジーやボノボなどの類人猿において心の理論があることが示唆されています。つまり、心の理論は人だけに備わっている特徴ではない可能性があるということです。

https://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/ja/publications/FumihiroKano/Kano2019-PNAS.html

進化的には人と近い大型類人猿ですが、人と共同して喜んで何かをするという点で最も優れている動物は犬と言ってもいいでしょう。そして、犬は異種である人との間に、親子に見られるような愛着関係を築くことのできる動物でもあります。そんな犬にははたして心の理論があるのか、それについても数々の研究が行われていますが、最近紹介した以下の研究からは、犬に心の理論があるとは言えないとする結果が示されています。

https://inuiwaku.net/57860/

とはいえ、犬は人の感情状態を知覚することができ、心の理論の基礎をなす行動のうちのいくつか、たとえば指差しへの反応、視線追従、行動の同期などをすることができます。中でも行動の同期は人の研究から社会的なつながりや一体感、信頼関係を強めることがわかっていますが、犬と人の間でも行動を同期させることで仲良くなる可能性が高くなることが示唆されています。

https://inuiwaku.net/55923/

なぜ行動を同期させると関係性が深まるのか、その背景にある神経メカニズムが研究されるようになり久しいですが、近年、行動のみならず脳活動の同期について注目が集まっており、

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