スウェーデンの動物保護法と科学的エビデンス、犬の運動のニーズとそのウェルフェア

文:藤田りか子


[Photo by Martin]

動物のウェルフェアとは、生かすか殺すかの選択を行うことではなく、動物がいかに気持ちよく生きていけるか、というところに議論の中心が置かれる。「死」を毛嫌いし、それを極力避けようとするのは日本の動物をめぐる価値観の特徴だが、それゆえに動物がどう生きるかについて、あまり話し合われることはない。日本の動物愛護法に「終生飼養」という言葉がでてくるが、まさにここに日本の動物倫理観が表されているだろう。その証拠に「犬が殺された」「犬が死んだ」ということについてSNSなどで大衆は大きく反応するものの、犬を室内やケージに入れたままにして運動にほとんど出していない、という非倫理的行為については、それほど咎める様子はない。スウェーデンに長年住んでいる私の感覚からすると、かなり鈍感に思える。

犬にとって身体的運動が大切なものである、というのは実は日本でも誰もが知っているはずだ。むしろ私が日本にいた昭和の頃の人の方が犬を散歩に出していたような気がする。ただし最近では

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