文:尾形聡子
[photo by Sergio Arteaga]
現在、日本において犬の不妊化手術は一般的に行われています。もともとは望まれずに生まれてくる子犬の個体数を管理するためでしたが、手術の広まりを後押ししたのが、早期不妊手術(生後6週~5.5ヶ月齢)の安全性がアメリカで確認されたことにあるでしょう。最初の発情期が来る前に手術を行えば必ずメスの妊娠を防ぐことができるからです。それは、殺処分の運命を辿るしかない犬を減らすことに大きく役立ちました。
個体数の管理だけではなく、不妊化手術を行えば生殖腺に関連する病気を予防できる、性ホルモンに起因するストレスの減少や行動の管理がしやすくなると言われていました。アメリカの影響を受けやすい日本でももれなく、不妊化手術をすること、それも、早期にすることが一般的になって久しいですが、ここにきて、はたしてそれが犬にとってメリットばかりではなさそうだ、という研究結果が次から次へと出されています。
アメリカでは、犬の早期不妊化手術を推し進める一方で、その長期的な影響を調べていました。犬種差や体格差などはあるものの、おしなべて、がんや関節疾患、尿失禁などの病気の発症率が