文:尾形聡子
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犬と人の間には相互作用する特別な関係性が作られます。だからこそ、人類史上もっとも古い家畜として犬はその地位を確立できたと言っても過言ではないでしょう。しかし、相互作用があるがゆえに、そこにはトラブルが生じることもあります。犬との暮らしを夢見ていざ家庭に迎えても、問題行動が手に負えないなどの理由で関係性が思うように築けず、共に生活を送ることを諦めてしまうようなケースは後を絶ちません。
もちろん、飼い主の飼育放棄の理由はさまざまです。飼い主の経済問題、健康問題、家庭問題などもあれば、犬の健康問題などもあります。やむを得ない事情が出てくることもあるでしょうし、飼い主がいけない、犬がいけないと、一方的にどちらかが悪いと判断できないことも多々あるはずです。いずれにせよ、犬と暮らしたいと思うモチベーションを持った人しか犬と暮らす選択をしないわけですが、犬と人との間には、両方の特性が影響して生ずる、なんらかの抗えない関係性、すなわち相性のようなものもあるかもしれません。
「性格」と「愛着」からアプローチした研究の数々
相性というと、つい占い的なことを想像してしまいがちですが、そうではなく、心理学的なアプローチから犬と人の関係性を調査する研究はこれまでにたくさん行われています。そこで着目されているのが