アメリカから、病気リスクを回避するための犬種別不妊化手術適齢期ガイドラインに5犬種追加される

文:尾形聡子


[photo from Adobe Stock] ガイドラインに追加された犬種、ジャーマン・ショートヘアード・ポインター。

望まれない繁殖を制限するために犬にとられる処置、不妊化手術。手術を推奨しない風潮の強いヨーロッパ諸国に比べ、アメリカでは手術することが飼い主義務として一般的に認識されるようになりました。動物保護施設では新しい飼い主に譲渡する前に、若犬に対しても不妊化手術が法律で義務づけられているところがあります。そのような努力を積み重ねてきた甲斐あって、シェルターで安楽死させられる犬の頭数が減少したとも言われていますが、安楽死の頭数減少の背景にあるのはそれだけでなく、責任ある犬の飼い主が増えたことを反映しているとも考えられています。

日本の状況を見るに、犬の不妊化手術に関してはアメリカの影響を強く受けてきているように感じます。犬の繁殖を制限するために手術を選択することは、責任ある飼い主としてすべきことのひとつだと考える人が増え、また、殺処分されてしまう犬の頭数を減らそうと、数々の愛護団体では手術を譲渡の条件にしたり、手術することを推奨したりしています。

しかしここにきて、アメリカで一般的になっていた性成熟を迎える前に行う早期手術に対し、デメリットがある可能性を指摘する報告がいくつも出されています。病気や行動への悪影響です。そうならば、個体数管理と個体の健康を両立させるためにはどうしたらいいか、アメリカでは今もなお研究が続けられており、成長に必要十分な性ホルモンに一定期間以上暴露されることが重要だと考えられるようになっています。最近では、「健康や行動への影響を最小限に〜犬の不妊化手術に代わる方法は?」にて紹介したように、性ホルモンを温存する方法での手術について調査研究が発表されています。

アメリカにおいて、犬の不妊化手術に関する影響を長年に渡り研究し続けているカリフォルニア大学デイビス校のベンジャミン・ハート博士とリネット・ハート博士を中心とした研究チームは、

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