文と写真と動画:藤田りか子
[Photo by Masson]
ボーダー・コリーは人が出すハンドシグナルを理解するのが早かったり、ラブラドール・レトリーバーは他人に対してあまり警戒心を見せなかったり、そしてコッカー・スパニエルはいつもアクティブに周りを探索したり…… などなど犬種によって行動のパターンにはいくつかの傾向がある。皆さんもそれをなんとなく感じていたり知っていたりするのではないだろうか。さて、これら行動は犬の認知機能によっても大いに影響を受けている。
ならば犬種によって認知機能の差異が存在するのか、をフィンランドのヘルシンキ大学のSaara Junttilaらが2022年に調査、面白い研究を発表している。対象となったのは13犬種約1000頭だ。これらの犬たちにインパルスコントロールや問題解決、記憶、社会的認知能力など、さまざまな認知機能テストを行いデータを解析した。その結果、いくつかの認知機能において犬種差が見られた、ということだ。
どんな犬種がどんな傾向を見せたのか、は後述するとして、今回はみなさんにぜひインターラクティブに「犬曰く犬学研究最前線」に参加してもらいたいと思う。そう、実験で行われたテストを家庭でも試す!という企画。そして愛犬の「認知機能」のクセを探ってみよう、というのがテーマだ。
テストのいくつかは特別な設備がなくとも自宅でも実行可能。そのやり方と、愛犬が見せた結果をどう解釈するかを解説したい。フィンランドの研究者たちの実験結果も示すので、愛犬のそれと比較するとさらに面白くなる!実験後は犬の「認知機能とは?」というふか〜い犬学的知識が身に付くのは請け合いだ。もしドッグトレーニングスクールや犬の幼稚園を運営している方であれば、飼い主さんとその愛犬といっしょに「うちの子、どんな子?」を調べるための実験してみてあげると喜ばれるかも。小学生のお子さんがいる方なら、夏休みの自由研究のテーマとして使ってみるのもよし!
認知機能の側面から見る犬の行動
テストのやり方の説明に入る前に簡単に認知機能の説明をしておこう。