文:藤田りか子
[Photo by Pauline]
我が家に以前いた元祖ラッコ(筆者の最初のカーリーコーテッド・レトリーバー)は、大理石でできたようなツルツルの床表面につれてくると、パニックったような行動を見せたものだ。まるで氷の表面で「きゃー、倒れる、倒れる!」と大慌てをしているがのごとく、四肢をバラバラにあちらこちらに滑らせ、なぜか脚をそろえてきちんと地につけることができなかった。友人が住んでいたアパートメントの入り口からドアにいたるまでがツルツル床で、そこを訪れる度に苦労したのを覚えている。なぜ、こんなに慌てるのかと疑問に思っていたものだが、その後、我が家の犬だけではなく、ツルツルした床表面を怖がる犬が他にも存在することを知った。元祖ラッコはまだ歩こうと努力してくれたからいいものの、犬によっては「歩けません!」とそこで固まってしまう個体もいるようだ。
ツルツル床に並び、階段を怖がる犬もいる。こうなるとちょっと厄介だ。階段は公園、街、建物など、人の住むところであれば、ありとあらゆるところにある。ここを通らずして目的地に到達するのは無理な場合もあるだろう。小型犬なら抱いてなんとかやり過ごせるが、ゴールデン・レトリーバー大の大型犬ともなると!
[Photo by Dana L. Brown]
そういう飼い主のお悩みを聞くと、ドッグトレーナーはたいてい
「他の環境ではどうですか?」
と聞いたりして、その犬の普段の怖がり度などを推しはかろうとする。階段の他は何も怖がらないです、なんて答えると
「じゃ、トレーニングしたら治るはずですよ」
とアドバイスをくれたりする。だが、果たして本当にそうなのだろうか?
スウェーデンのドッグトレーナー、