文と写真と動画:藤田りか子
犬が風下にいれば、においをとりやすい。当たり前のことだけど、今や自然から離れ嗅覚をつかわない我々人間は、このような「原始的思考」に欠けていたりする。[Photo by Dann Aragrim]
前回からの続きだ。
ガンドッグとノーズワークというドッグスポーツ共通しているのは「風向きを考える」こと。競技会も初級レベルであれば、それほど気にせずともなんとかうまくこなせる。だがレベルがあがるにつれて、ハンドラーの風を読むスキルのありなしが成績により響いてくるようになる。
ガンドッグであれば、ブラインドで送り出したあとにどこでストップをかけたらダミー(鳥)のにおいが犬の鼻でキャッチされやすくなるのか、エリアのどちら側に送りだせば犬は風下に入るのか?などを考える。「ストップ!」「右!」「あ、違う左!」「行き過ぎた、戻れ!」などと、ホイッスルをピーピー吹き鳴らすうるさいハンドリングは、ジャッジの好みではない。しかし風をうまく読めば、犬を送り出し、ほとんど遠隔操作なしに「サクッ」と回収してもらうことも可能だ。そのような上手なハンドラーのパフォーマンスは
「犬を送って、ダミーを拾わせただけ」
といかにも簡単そうに見えるものだ。しかし見る人が見ると、ハンドラーの風の読みのうまさがわかるのだ。その作戦の巧みさにはただただため息…。
車両サーチの不思議
ノーズワークで風が重要な考慮ポイントとなるサーチは、車両課目だと思う。エクステリアサーチも