四季折々「もってこい!」遊びで愛犬を健康に保つ!

文と写真と動画:藤田りか子


落ちたりんごを拾って遊ぶ幼い頃のミミチャン。

健康であることの秘訣。メンタルもヘルシーに保つこと。それはそのまま身体の健全性に反映される。「気持ちいい!」と感じることが頻繁に起これば、免疫力の向上にもつながる。その結果あまり病気をしないで済む。人のみならず、これは犬についても当てはまる。

犬を健康に保つにはよい食事とたっぷりの愛情は欠かせないが、やはり運動に勝るものはない。なんといっても犬にとって運動は「フィールグッド」感にそのまま直結するものだからだ。

もし運動を「楽しい」と思わない犬がいれば、どこか具合が悪かったり痛みがある、あるいは環境トレーニングが十分施されていなかったために、恐怖が先に立っている証拠でもある。運動好きは、食事を好きだと思うことと同様に、犬の「自然」でもある。

さて楽しく体を動かすにはどうしたらいいのか。散歩は大事な運動ではあるが、ダラダラ歩くだけでは、あまり効果がないかもしれない。そもそも散歩をダラダラにしているのは、飼い主の気持ちの持ちようにも原因がありそうだ。どよ〜んとした感情で犬を連れ出したところで、結果「適当な散歩」で終わる。犬も十分に満足を得られない。

犬の散歩は好きだが、私は毎日必ずしも笑顔でやっているわけではない。ときには「かったるい」と思うこともある。人間も生き物だ。しょうがない。世間ではそんな時こそ、スポーツをしろ、とか、趣味に打ち込め、とか言うのだが、私に関しては気持ちが乗らないときの対処法は「しばらく寝込む」。体を動かすのが超億劫になるのだ。とはいえ、せっかく犬たちが楽しみにしている散歩を、私のやる気のない態度で潰してしまうのは申し訳ない。だからそういうときは、歩くという行為自体は短く切り上げ、代替となるものを提供をしている。たとえば「もってこい遊び」だ。


(写真上)北欧では冬だって外での回収遊びが楽しめる。ボールを投げると雪の中に埋もれて失くしてしまう恐れがあるので、ならば雪玉を使って回収させる!深い雪であれば、犬は背中の筋肉を十分使ってかき分け走らなければならない。たったちょっとの距離でもこれがなかなかタフな運動だ。だから飼い主にとっては短時間で散歩を終わらせられる、というメリットも。


夏は水場で「もってこい」遊びをする機会が多くなる。水に何かが浮いていないと泳ぐモチベーションをもてない犬にはぴったり。水泳を与える機会となるし、特に四肢の関節を痛めている犬にとっては、浮力で関節に負担をかけず素晴らしい筋肉強化訓練となる。

何が嬉しいって、この遊びをする際は人がほとんど動かなくていい。物品はボールやおもちゃを使う。そして、決して見つけやすい場所には投げず、茂みとか薮の中に落とす。そうすれば犬は追いかけたい欲に任せて、セカセカハァハァのストレスにのまれることもない。ボールがありそうだ、という場所までは走っていくけれど、その後は嗅覚で念入りにサーチをしなければいけない。そこで一旦心拍が落ちる。数回そんな風に物品回収をさせれば、たとえその日の散歩が短くとも、犬は家に帰れば心地よい疲労感とともに「くた〜」とするものだ。嗅覚活動は頭を疲れさせる。

私の方はといえば、自分は動かずにして犬をクタクタにさせるからとても得をした気分になる。さらなるボーナスは、犬の物品回収の遊びに付き合っているうちに、「どよ〜ん」とした気持ちが家に帰る頃にはいつのまにか消えていたりする。私も犬との遊びに興じすっかり元気になるのだ。犬ってやっぱりいい。

「もってこい!」は季節に関わらず遊ぶことができる。もちろん都会に住んでいれば難しい場合もあるかもしれないが、リード付きでやることもできる。どのようにやるかは、飼い主のクリエイティビティ次第だ。

以下に北欧の春のはじまりの様子をご覧あれ。

雪が溶け始め、小川にたくさん氷が浮く。こういうときはとくに物品をとらせることなく、自然にあるものを犬に回収させて遊ばせている。犬が犬らしく遊んでいるのを見るのはとても楽しいものだ。

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