犬のがん発症年齢と、サイズや犬種、性別との関係

文:尾形聡子


[Image by Jan Steiner from Pixabay]

人のみならず犬の死亡原因トップの病気、がん。人で行われている「がん検診」と同様のものが、近いうちに犬においても推奨されるようになるかもしれません。

体のサイズと遺伝的多様性、犬の寿命にどう影響する?」で紹介しましたように、犬は体が大きい方ががんの発症リスクが高まります。しかし小型だからといってがんを発症しないかといえば決してそうではありません。また、ゴールデン・レトリーバーやフラットコーテッド・レトリーバー、ボクサーなどはがんでの死亡率が高く、チワワやシーズー、ダックスフンドなどでは低いなど、犬種による違いもあることがわかっています。また、雑種犬は純血種よりがんでの死亡率が低いものの、がんにかからないわけではありません。どの組織にがんが発症するかも犬種特異性があるものがあり、たとえば全体で見れば骨のがんはそれほど多くありませんが、アメリカのロットワイラーではその発症リスクは犬の平均値の10倍にもなるとの報告があります。

このように、がんの発症は体の大きさだけでなく、犬種によっても、そしてがんの種類によってもさまざまですが、犬全体としてみれば病気の死亡原因としては一番多いのが現状です。

犬に病気が見られなくても、年に一度は定期健康診断を受けましょうと推奨されていますが、普通の健康診断では臨床的な症状が出る前のがんを発見するのは難しいため、できるだけ初期の段階でがんを検出する検査の必要性が講じられてきました。がんは比較的発症しにくい犬種の間でも主要な死因であり、犬種に関係なくすべての犬が定期的ながん検診を受けることで予防効果を得られる可能性があるためです。

このような背景から近年、リキッドバイオプシーと呼ばれる検査方法で犬のがんのスクリーニングをする技術が開発されました。リキッドバイオプシーとは、血液などの体液を採取してその中に染み出てきているがん細胞由来の遺伝子の配列を調べて、有効薬剤を探索したり、より正確な診断をしたりする技術です(宮城県立がんセンターHP参照)。従来行われていた組織生検に比べると体への負担がなく、全身の状態をリアルタイムに把握し、適切なタイミングで簡易に繰り返し検査できるという特徴があります。

ただし、犬は犬種によってもサイズによっても寿命もがん発症率も異なります。そのため、「ある年齢」でがんのスクリーニングを開始した方がいいというように、ひとつの年齢があらゆる犬にとって適切な目安になるとは限りません。そこで、アメリカのカリフォルニア州にある科学研究機関であるPetDxでは犬ががん検診開始年齢のガイドライン確立に役立てるために、さまざまながんと診断された犬についての調査を行い、がんの診断年齢の特定を行いました。


[photo by Aady Rockson Unsplash]

検査を「どのように」ではなく「いつから行うか」に

研究者らは

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