体のサイズと遺伝的多様性、犬の寿命にどう影響する?

文:尾形聡子


[Image by Herbert Aust from Pixabay]

犬は人の手による繁殖によってさまざまな姿形を持つようになりました。同じ種であるにもかかわらず体の大きさもかなり幅があります。そして、そのような見た目の違いだけでなく、犬種によって寿命にも大きな差があることが知られています。

哺乳類では一般的に体が大きい方が長生きですが、犬に限っては逆で、体が大きい犬ほど寿命が短くなる傾向が見られます。超大型犬においては平均寿命が10歳に届かない場合がほとんどです。なぜそのような現象が生ずるのかについてはまだ明らかになっていませんが、最近の研究では大型犬が短命になる原因のひとつにDNAメチル化状態が関係している可能性が示唆されています(「エピジェネティクス研究、大型犬が短命な理由に一歩近づく」参照)。ともあれ、犬の寿命の長さに関わるもっとも強い要因は体の大きさだと言われています。

遺伝的多様性と寿命の関係

そのほかに、犬の寿命に関係してくる要因として、成長と老化のスピードの違い、染色体の端にあるテロメアと呼ばれる領域の影響、酸化ストレスなどとの関連性があると考えられていますが、遺伝的多様性が与える影響も見過ごすことはできません。犬は、犬全体としては遺伝的多様性は高いものの、犬種としてみる限りは格段に低くなるためです。

遺伝的多様性が失われる原因として、

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