前十字靭帯断裂、発症リスクを低下させるために役立つことは?

文:尾形聡子


[photo by recastle]

前十字靭帯断裂はどの犬にも発症しうる、後肢の膝関節に生じる病気です。痛みで後ろ足を地面につけなくなるなど、破行を見せるようになります。アメリカでは、1964年から2003年までの間に前十字靭帯断裂の発症率が2倍以上になっていたという報告もあるほどで、犬にとって身近な病気のひとつと言っていいでしょう。

一般的に、前十字靭帯断裂は運動中の急激な負荷が原因で靭帯を損傷するというイメージが強く持たれているかもれません。しかしそれだけでなく、加齢により靭帯が弱まっていく、肥満による負荷の増加、大型・超大型犬、早期の不妊化手術などが発症リスクとなることがこれまでの研究で示されており、解剖学的、遺伝的、環境的要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。さまざまな発症リスクを高める要因は示されてきているものの、日常の運動やドッグスポーツが前十字靭帯断裂発症にどの程度影響を及ぼすのかについては、あまり知られていません。

そこで、アメリカのワシントン州立大学とカリフォルニア大学デービス校の獣医師らは、身体的に負荷がかかるドッグスポーツとして知られるアジリティに積極的に参加をしている犬を対象として、

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