文:尾形聡子
[photo by Lisa L Wiedmeier]
犬は世界各国の人々が愛するペットの代表格。世界的に犬の需要が高まっている中、コロナウイルスの流行もあり、よりいっそうその傾向に拍車がかかっています。
ではどこから犬を迎えるか?その手段として、ブリーダー、ペットショップ、レスキュー団体からなどさまざまな選択肢があります。野良犬や野犬が自然繁殖してレスキュー団体に保護された犬以外は、基本的に人の手によって繁殖が行われた犬たちです。中には一般家庭で繁殖を行う場合もありますが、通常はプロの手によって繁殖された犬に対価を支払って迎えるという方法になります。にもかかわらず、購入する犬を選択するための知識や、目の前にいる子犬がどのような環境で育ってきたかについて検討しようとする意識があまり浸透していない現実があります。
多くの人々が犬を家族の一員と考えるようになっている状況において、犬の出自を知ることはとても重要です。自ら選択するという心構えがしっかりできていれば、犬を手放すリスクが減るばかりか、犬の日常生活の質がある程度保たれる可能性が高まります。犬の福祉に対する社会的な関心も高まり、それが動物愛護法の改正に反映されてきてはいるものの、それでも、迎えようとする犬がどのような環境で生まれ、育ってきたのかを知ろうとする社会的な風潮は残念ながらまだあまり感じることができません。
もちろん、両親となる犬がどのような犬であるかを知るのも大切です。それだけでなく、生育環境が犬のその後の性格に長期的な影響を与える可能性があります。とりわけ大規模な商業的ブリーディングにおいて、子犬は恐怖心や攻撃性などを見せる可能性が高まるなど、性格形成に悪影響を及ぼすことは数々の研究により明らかにされています(藤田りか子さんの「ビビリの犬は動物ウェルフェアに関わる問題です」をご参照ください)。攻撃性は犬の飼育放棄の大きな原因のひとつでもあるため、それは直接的に犬の福祉にも影響を与えていると言えるでしょう。さらに最近では、純血種の小規模ブリーダーであっても、犬舎での過ごし方によって犬の性格に違いが出てくることも示されています。
[Photo by Ayla Verschueren on Unsplash]
つまり犬を迎える際、犬がどのような出自であるか、どのような繁殖方法をしているブリーダーなのかなどを知ろうとすることは、健全な犬をつくろうと志を高く持つブリーダーと出会えるチャンスを増加させられるとも考えられます。そのためには、