文と写真:藤田りか子
犬がノーズワークで「当たり」のにおいを見つけた際に見せる最終反応、インディケーション行動。これをトレーニングすべきかあるいは必要としないか、ノーズワークスポーツ世界における独特の討論がある。犬曰くの「ノーズワーク・コーナー」でもこれまでに何度かこのトピックスを取り上げてきた。
このディベートは我々アマチュア・ドッグハンドラー界だけに限ったものではない。プロの探知犬ハンドラーの世界でも同様だ。インディケーションが果たして信頼できるものなのかどうか、今や科学的にも検証されている。特にここ10年間、メディカル系の探知犬(メディカル・ディテクションドッグ)の活用は目覚ましい発展を遂げている。最近では新型コロナを探知する犬が話題になった。がん探知犬であれば、がんの早期発見に大事な役割を果たす。すなわち犬が臭源を見つけたか否かは、ときに人の命に関わってくる。「インディケーション」は犬の「見つけた!」という人への合図表現として使われるゆえ、その信頼性は確かに学術的考察に値する。
インディケーション行動を反対する理由は?
ただしイギリスのThe Open University(一般市民向けの大学のこと)のMancini教授ら(2015)はメディアカル系の探知犬によるインディケーションを信じない