文:サニーカミヤ
出典:Australian Firefighters Calendar
オーストラリアのニューサウスウェルズ消防局の消防士たちが1993年から始めた社会貢献活動、Australian Firefighters Calendar(消防士カレンダー)はFacebookでも世界中から34万人以上ものファンが支持している。
20オーストラリアドルで販売しているカレンダーの売り上げ部数は毎年平均30万部。この収益のほどんどは子どもの火傷の研究や病院で病気と闘っている子どもたち、やけどセンターで苦しんでいる患者、そして、里親施設で新しいオーナーを待っている犬たちの生活を支えるために寄付されている。
■Australian Firefighters Calendar(消防士カレンダー)のFaceBook
この消防士たちはテレビ番組やビデオなどにも出演し、火災予防や防災、社会的モラルの向上など、様々な方面で活躍している。カレンダーは毎年、下記から購入でき、日本にも発送してくれる。すでに2021年のカレンダーも発売開始となっているようだ。
下記のビデオはアメリカのデンバーの消防士たちによる子犬の譲渡会。ニューメキシコの人口が少ないエリアなどでブリーダーが倒産した際に引き取った子犬や、里親施設でトレーニングを受けた成犬たちの里親を探すイベントを年間を通じて行っており、年間約1500頭を救助している。
The 2017 Firefighter Calendar & Puppy Rescue Party (出典:YouTube)
消防士たちにとっても、自分たちが消防の訓練を通じて体を鍛え、心を養い、社会に貢献することで、子どもたちの笑顔に出逢い、そして飼い主を待つペットたちの未来を育てている。
もちろん、この消防士たちは消防現場でペットのレスキューも行っており、ペットの救急法の普及活動も行っている。
こんなに誰にとっても素晴らしい社会貢献プログラムを考えついたのも素晴らしいが、もう25年も続いているのがさらに感動的だ。彼らのアイデアをそのまま受け入れる必要はないが、日本の消防も何かに心を開いて、こういう実践的で社会貢献度の高いプログラムを試みてはどうだろうか。
もちろん、何をするにも少数の人々が苦言を呈すかもしれないが、そんなことに恐れていては大きな社会貢献はできない。できない理屈を並べ立てる時間と労力を費やすのならば、同じ時間を活かし、できる方法を模索し、工夫して実現に向けて行動するべきだと強く思う。
きっと消防士へのイメージも向上し、同時に社会におけるステータスも高まって、継続的に多くの苦しんでいる方々やサポートが必要な方々の生活を支えることができる。
誰にとってもステキな結果に導けると感じるがいかがだろうか?
(本記事はリスク対策.comにて2017年2月21日に初出したものを一部修正し、許可を得て転載しています)
文:サニー カミヤ
1962年福岡市生まれ。一般社団法人 日本防錆教育訓練センター代表理事。元福岡市消防局でレスキュー隊、国際緊急援助隊、ニューヨーク州救急隊員。消防・防災・テロ等危機管理関係幅広いジャンルで数多くのコンサルティング、講演会、ワークショップなどを行っている。2016年5月に出版された『みんなで防災アクション』は、日本全国の学校図書館、児童図書館、大学図書館などで防災教育の教本として、授業などでも活用されている。また、危機管理とBCPの専門メディア、リスク対策.com では、『ペットライフセーバーズ:助かる命を助けるために』を好評連載中。
◆ペットセーバー(ホームページ、Facebook)