文:尾形聡子
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短頭種の持つ独特な容貌に惹かれる人が世界的に急増している昨今。しかしその一方で、短頭種が抱えやすい特有の病気があり、彼らの健康が脅かされている状況にあることに大きな懸念が集まるようになってきています。
これまでに、短頭種の健康問題については犬曰くでもいくつかのブログで紹介してきました。問題とされているのは、特有の見た目を強調するあまりに、形態的に気道閉鎖症候群(BOAS)や眼疾患、皮膚疾患などをより頻繁に発症するようになってしまっていることです。犬の寿命を調べた日本の研究報告では、もっとも寿命が短かったのがフレンチ・ブルドッグであり、2015年のイギリスからの報告では短頭種の寿命はマズルの長い犬とくらべて4.1年短いという結果がでています。また、スクリューテールの特徴と脊椎異常のように、遺伝的な背景についても徐々に示されるようになってきています。
さらに、犬が苦しんでいるのを飼い主が見過ごしていたり、そもそも短頭種が罹りやすい病気に対する飼い主の認識が欠落していたりすることも研究によって示されています。たとえば短頭種がいびきをかくのは決して普通のことではなく、健康的に問題がないわけではないのです。つまり、短頭種は繁殖的にも飼い主との暮らしの上でも、犬としての福祉が守られない方向に進んでいってしまっている状況にあるといっても過言ではありません。
もれなくイギリスでも短頭種人気は衰えをみせず、昨年の登録頭数は不動の1位のラブラドールに迫る勢いでフレンチ・ブルドッグが続いています。重大な健康リスクを抱えやすい短頭種がこのまま増え続けていくことは福祉的に問題があるのではないか、回避すべきだと考える王立獣医科大学の研究者らは、なぜ人々は短頭種を選択するのかを理解することがまず重要だとし、