“ほどほど”探して13年

文と写真:尾形聡子

下町といえばお祭り、そしてお神輿。夏祭り真っ只中の近所のとある神酒所前にて。 

犬に気づかされることは本当に多い。タロウとハナ、13歳の2頭の犬たちとの暮らしを通じて感じ続けていることだ。

飼い主と犬は似ていると言われることがあるが、それはあながち都市伝説ではないことが証明されつつある。外見ばかりでなく、性格が似てくるというのだ。あらゆる人に当てはまることではないだろうが、少なくとも私は、タロウとハナに影響を受けて考え方や感じ方が変わってきたし、なんとなく性格が似てきているように思っている。

犬との暮らしは、ともすれば、犬を通して嫌でも自分と面と向きあうことにもなる。私の場合は“これを犬たちにやってあげたいのにできない”といった罪悪感や未熟さといった自己嫌悪的感情にさいなまれ、そこからなかなか抜け出せない時期があった。けれど、どんなに悩もうとも結局のところはすべてを認めて自分が変わらなければ、犬との暮らしも関係性も何も変わりはしない。そう、どう変わるも人次第なのだ。

犬には誤魔化しはきかないし、小手先ではどうにも太刀打ちできないことが山ほどある。逆に、うまく小手先を使うだけで大きく変化することもあったりするから面白い。対人関係と似ているところもあり、まったく違うところもある。譲れるところもあれば譲れないところもある。それは人だけでなく犬にとっても同じことだろう。

そうこうしながら、“ベストでなくていい、ベターであれば御の字”と、お互いにとって心地よい“ほどほど”の着地点を探すようになっていった。そして何より犬たちは、持ち前の素晴らしい柔軟性を活かし、いつも私を快く受け入れ歩み寄ろうとしてきてくれた。だからこそ、犬と飼い主はだんだん性格が似てくるのではないか、とも思うのである。

このコーナーでは、タロハナとの日々の暮らしの中で気づいたこと、困ったこと、発見したことなどをゆる~り綴っていきたい。時に、タロハナに下町の観光案内をお願いすることもあるかも。 “ほどほど”の着地点は今もなお変化している。

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