犬と飼い主はお互いの性格をうつす鏡?

文:尾形聡子

[photo by Christopher Paquette]

あの犬と飼い主、見た目がよく似ているなあと感じたこと、みなさん一度ならずあるのではないでしょうか。それを科学的に検証してみようと研究を行った関西学院大学の中島定彦教授は、2009年2013年に2報の論文を発表しました。最初の論文では犬と飼い主は似ている傾向があること、次の論文では、犬と人が似ていると判断するには目がポイントとなっていることが示唆されたとしています。すべてのペアに当てはまることではないでしょうが、自分に似ている犬を無意識に選ぶ傾向を持つ人もいることは事実でしょう。

ところで犬と人は見た目のみならず、性格も似てくるものなのでしょうか?オーストリアのウィーン大学の研究者らが『PLOS ONE』に発表した研究によりますと、リラックスしている飼い主の犬はリラックスしており、神経症傾向がある飼い主の犬は同じように神経症傾向にあるといったように、飼い主と犬は性格を共有する傾向にあることが示されたそうです。

研究には132組の飼い主と犬が参加。いくつかのストレスを感じるような状況下で唾液に含まれるコルチゾール(ストレスの指標となるホルモン)濃度を測定することで生理的なストレス状態の解析を行い、さらに、アンケート調査による飼い主と犬の性格解析が行われました。

すべての結果を合わせての解析から、不安が強く悲観的、気配りが少なく過敏な飼い主と暮らす犬は不安を感じやすい傾向にあることが示されました。つまり、このようなタイプの性格の人は、そうではない人に比べると、ストレスに対応することが苦手なタイプの犬と暮らしていがちだ、ということです。また犬のストレスへの対応力の低さは、分離不安の犬、犬のニーズに十分に注意を払えない飼い主の犬にも同様に見られたそうです。

これについて研究者は、犬は飼い主の感情の状態に敏感なため、飼い主の不安傾向が強ければ、それを受けて日常のさまざまな場面で不安や危険をより感じやすくなってしまうためではないかといっています。

一方で、リラックスしている飼い主の犬は、リラックスして親しみやすい犬として暮らしているという傾向も示されました。これはおそらく、飼い主が犬のストレス対応の助けになっているからではないかと研究者は考察しています。

人間同士においては、怒りや喜びなどの感情の伝播が起きているという研究結果が多くだされていますが、人と犬の間には共通言語がない分、なおさら非言語的な部分でお互いの感情に影響を受けがちになるのかもしれないとも感じます。今回の結果を受け、愛犬になにか問題を感じ、それを解決したいと思っているならば、まずは自分自身を振り返ってみるのも大切なことのひとつかもしれないと思うのです。

(本記事はdog actuallyにて2017年3月2日に初出したものを一部修正して公開しています)

【参考サイト】
Daily Mail