くわえても叱っちゃいけないよ!

文と写真:藤田りか子

レトリーバーに限らず、どの犬も子犬時代は何かとモノをくわえたがる(そしてどこかにどっこいしょと落ち着いてかじる)。5ヶ月のアシカも、モノをくわえたい、という欲がどんどん強くなってきた。レトリーバーの場合、この欲はほとんど生涯を通して強いままだ。

くわえてくるものは、犬のおもちゃのみならず、たまたま床に落ちていたチラシや新聞、メガネ、ボーイフレンドのパンツ(洗濯カゴに入れないでそのまま放り投げている証拠でもある)など。まぁ、これらはくわえて破られたり壊されても惜しくはないが、靴はちょっと困る。良い革靴などをこちらに誇らしげに持ってきてくれた日には

「だめ〜!」

と口からひったくりたくもなるが、ここは理性をすぐに働かせるべし!何しろ鳥を回収する犬として育てているのである。私に何かモノを持って行ったら取られたり怒られたりした、という思い出をアシカに持ってもらいたくない。将来、回収トレーニングをしている時にきちんと私の側まで持ってくるのを躊躇する犬に育ってしまう(あるいは、モノをくわえたものの飼い主のそばに来た途端踵を返しどこか反対方向へ走ってしまう犬)。

一瞬キキ〜ッとした顔になったものの、急いで表情を和らげ、ポケットからトリーツを出して明るく「ありがとう!」。靴と物々交換をさせた。アシカは喜び、また玄関に走って靴を取りに行ってしまった。

「靴を渡したら、トリーツもらえた!」

こういう時はもう靴を隠すしかない。犬を叱らないで躾けるっていうのは、こういうことでもある。

犬のくわえたがる習性については以前Dog Actuallyで記事を出しているので、こちらもどうぞ!

くわえた時こそ至福!
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