最近集中してくれない・・・犬に見られる認知機能障害の徴候

文:尾形聡子

[photo by vividvisionspix]

人間社会と同じように、犬も寿命がのびて着実に高齢化が進んでいます。ペットフード協会による2017年の調べによりますと、飼育されている犬の約58%が7歳以上で、13歳以上の犬は全体のおよそ17%を占めていることが示されています。愛犬が健康で長生きしてくれることは飼い主にとって嬉しいことですが、年齢とともに健康面においてさまざまな問題が生じやすくなってくることも事実です。病気にかかっていない健康な犬であっても、からだは少しずつ衰えていくものですが、そのような老化現象のひとつに、人でいうところの認知症と似た症状を示す認知機能障害があります。

アメリカの獣医師が調査を行ったところ、8~19.7歳(平均年齢は11.6歳)の犬が認知機能に障害を持つ割合は14.2%だったそうです。またその割合は歳をとるごとに上昇し、細かく見ると11~12歳の犬の28%、15~16歳の犬の68%に認知機能障害の症状が見られたそうです。

脳や神経の機能低下により引き起こされる認知機能障害は、以下のような症状を現わします。

  • 方向感覚を喪失してしまう。行くあてもなくブラブラしたり、心ここにあらずでひとところをジッと見つめたりする。
  • 記憶を失ってしまう。これまでに修得したコマンドに反応しなくなったり、トイレの場所を忘れたりする。
  • 活動レベルが低下する。刺激に対する反応や、人や他の犬に対する反応が鈍る。散歩や遊び、食餌に興味を示さなくなる。一方で、ひたすらグルグル円を描いて歩き続けるなど、目的のない反復的な動きをするようになることもある。
  • 睡眠パターンが変化する。体内時計が狂うことで、夜は眠られずにそわそわとして、日中に眠ってばかりいるようになる。
  • 今までにない吠えや鳴きをするようになる。これまでは声を出さなかった状況で鳴いたり、夜鳴きをするようになったりする。

これらの症状は加齢による認知機能障害だけでなく、他の病気が原因となることもあるので、変化を感じたらまずは動物病院で診察を受けることが大切です。加齢により現れてくる認知機能障害ですが、人の認知症と同様に、加齢によりなにが起こっているのかという原因ははっきりと分かっていません。しかし、運動をしたり頭を使う遊びをする、たくさん話しかけたり遊んだりして触れあう時間を長くする(孤独にさせない)など、日常生活の中で加齢による脳の老化をなるべく遅らせ、認知機能障害の発症を予防していくことができます。愛犬が高齢になったときにも心身共に元気に過ごせるよう、毎日の生活に楽しい刺激をとりいれる工夫をしていきたいですね。

(本記事はdog actuallyにて2013年11月21日に初出したものを一部修正して公開しています)

【参考サイト】
PET MD