タンパク質と犬 (2)

文と写真:アルシャー京子

体を守る「免疫」。それを全面的にバックアップするのはタンパク質である。

一般家庭で飼われている犬の食餌中のタンパク質量の基本は「体全体に充分行き渡る理想的な量」とお話した前回

免疫系とタンパク質

丈夫な体に欠かせない免疫機能はタンパク質で出来ている。そのため免疫細胞を作る造血組織に充分なタンパク質が供給されないと、ただ困る。

どう困ってしまうかというと、例えばタンパク質の供給が不足して真っ先に機能が低下するのは免疫系とも言われ、まず皮膚の感染症にかかりやすくなり、若い犬では慢性の下痢や寄生虫に感染しやすくなる。また長期でタンパク質が不足すると毛の質も悪くなり、艶がなく乾燥し傷んだ毛になる。この際は特に、毛を構成するアミノ酸の供給も重要だ。

筋肉のみならずとにかく体に大事なタンパク質、何だか小難しい話になってしまう前にここで犬がどの程度必要とするか、需要量の目安を挙げるとしよう。


厳密に言えば、食材の中に含まれるタンパク質量と食べたタンパク質の消化・利用率は食材により異なるため、もっと複雑な話になるが、家庭ではだいたいこのくらいを一日の目安に食餌を構成するとよい。

さっそく肉に換算

表中の充分量を肉に換算するとどうなるのか?これが手作り食派にとって気になるところ。

体重10kgの犬のタンパク質充分量28gをまかなうために、今犬の手作り食の肉としてよく使われているものを例に挙げると、一日あたり鶏モモ肉(皮付き・生 タンパク質約19%)で約170g、牛肉・馬肉(肩 タンパク質約21%)で約150g、魚(マイワシ丸ごと タンパク質約21%)だと約1尾半となる。

その他の食材については「食品栄養成分表」を参考に自分で電卓をはじき、愛犬の体重にあわせておよその量を掴んでみて欲しい。

ドッグフードの中のタンパク質量

さて、上の表を参考にドッグフードに含まれているタンパク質がどのような量にあるか、簡単に見てみよう。

フードのパッケージにある成分の表示のうち「粗たんぱく質」とあるのが、このフードに含まれるタンパク質の量。この数字と愛犬の体重に見合った給餌量を掛け出てきた数字が、このフードを通して愛犬が摂ることになるタンパク質の量である。

体重10kgの犬へのドッグフードで例えをあげてみると

A社 「粗タンパク質 19%」 「給餌量 140g」

140g x 0.19 = 26.6g

B社 「粗タンパク質 26%以上」「給餌量 160g」

160g x 0.26 = 41.6g

ここで上の表と比較。体重10kgの充分量は28g...とすると、消化・利用率など10%程度を考慮してA社の26gはちょっと少なめ、B社の41gは多めということに。

とまあ、こんな風にフードの中身を評価できるわけだ。

フードを通して摂るタンパク質が少ない場合は、おやつにササミジャーキーなどを少し与えることで調整も可能だけど、じゃあ多すぎるタンパク質の場合は給餌量を減らせばいいのかというと、そうも行かない。

タンパク質の摂取を抑えようとして給餌量を減らすと、今度はエネルギーが不足するうえ、タンパク質以外の成分(ビタミンやミネラルなど)も同時に減ってゆくことを忘れてはいけない。

そこでまた疑問、「タンパク質を摂りすぎるとどうなるの?」

これはまた次回に。

(本記事はdog actuallyにて2009年1月20日に初出したものをそのまま公開しています)

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