散歩をするのは何のため?誰のため?

文:尾形聡子

[photo by Cedric Ramirez]

犬との暮らしの中で、そして犬のウェルフェアを考えるうえで欠かせない散歩。前回に続き、散歩について言及しているブログをチョイスしてみました。

人の健康のために犬を飼う!?

犬との散歩が飼い主の心身の健康にいい影響があることは学術的な調査により示されています。しかし、犬を飼えば人の心身が健康になる、という逆説的な方程式は果たして成り立つものなのでしょうか。

健康にいいというそれだけで犬を飼った人が、本当の犬好きでなかったり責任感に欠けたりしていれば、いずれは犬の散歩をほとんど放棄する状態となるかもしれない。この研究は「健康」を売り物にして安易に人々に犬を飼わせようとすることへの警鐘になるとも言える(ブログ本文より)

健康になるという理由だけで犬を飼うなかれ
文と写真:藤田りか子 「犬の散歩に行けないという理由で唯一正当化できるのは、病気の時ぐらいでしょうか。その他の理由に関しては、私は全て言い訳だと...

飼い主のすべてが毎日しっかり散歩をしているわけではなく、40%もの飼い主が数日に一度しか散歩に行かない、もしくは、ほとんど散歩に行かないような生活を送っているとの調査結果も。これは、日本のみならず世界的にも小型犬ブームが起きていることの副産物なのでしょうか。いや、このことは犬にとっては迷惑な副作用にほかならないとの見方もできるのではないかと思います。

犬種によって運動量の違いは歴然

小さな犬ほど散歩量が少ない傾向にあるのは、さまざまな調査により示されてきていることです。イギリスの研究でも然りで、最下位はトイグループ(小型愛玩犬種グループ)、特にビション・フリーゼ、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンは運動時間が少なかったそうです。さらに、チワワの飼い主の4%はまったく散歩をしないとも報告されています。

超小型犬ゆえに、散歩をサボる人がいるのは何処も同じということだろうか。これは決して褒められたものではない。なんと言っても犬は大きさに関わらず皆外に出て歩いたり臭ったりする刺激を心から楽しむ動物だ(ブログ本文より)

犬種別に見た愛犬運動量の統計結果
文と写真:藤田りか子 「健康維持に、犬を飼うのがよし」というスローガンが最近マスコミで出回っている。犬がいればどうしても散歩に連れて行ってあ...

一方、運動量の多いのは断トツでガンドッグという結果に。

本来小型犬ももっとたくさんの運動が必要なのだが、おそらく多くの人は「あまり運動を与えられない(あるいはその可能性が限られている)」という理由で小型犬種を選ぶ。そしてトレーニングに興味がある人は使役能力のある犬種を選ぶ。その結果たまたま運動量が多くなる。すなわち、まず飼い主の犬への興味(トレーニングなど)ありき。そしてライフスタイル、環境があらかじめ整わないと、人の運動量というのは容易に上がるものではないということだ。人の健康向上を犬頼みにしてはいけない(ブログ本文より)

そもそも犬との関係性が良好であることが大前提では?

犬を飼えば散歩する、散歩すれば自分の健康度アップに役立つ、だから犬を飼う?

いささか乱暴な言い方かもしれないが、犬が好きで一緒に暮らすとしても、自分が満足するのが最優先と考えるか、お互いに満足できるようにしたいと考えるかでは犬との間につくられる関係性は違ってくるだろう。犬との暮らしに伴うのは、日々の散歩に取られる時間、食餌や獣医代など物理的なこと、むしろ人にとってはデメリットとされるものがほとんどで、犬と暮らすことによりもたらされるメリットはあくまでもその人と犬の関係から生じる結果でしかないと思うのだ(ブログ本文より)

犬への倫理、下町考
文と写真:尾形聡子 藤田さんの「健康になるという理由だけで犬を飼うなかれ」を読んで大きく二つ感じたことがある。ひとつはそこに書かれていたことを地元の...

以前、『見つめ合いとオキシトシンが人と犬の絆形成のカギに』でお伝えしましたが、犬と人の絆が形成されるのは、幸せホルモンであるオキシトシンと視線を介したコミュニケーションが、両者間におけるポジティブ・ループを促進しているからだという研究結果がでています。ある意味これは、鶏が先か、卵が先かの因果性とも似ているところがあると感じるものです。犬が先か?人が先か?散歩の話からはちょっとずれてしまいますが、犬と人との関係がどのように始まったのか、ついついそんなところにまで思いを馳せてしまいます。

人が犬との暮らしの中で健康を得ることができてきたなら、その関係は決して一方通行ではなかったはずです。ポジティブな関係性が存在するからこそ得られる、素晴らしい副産物なのではないかと思うのです。

見つめ合いとオキシトシンが人と犬の絆形成のカギに
文:尾形聡子 読者のみなさんにはすでにお馴染となっているだろうホルモン、オキシトシン。麻布大学獣医学部伴侶動物学研究室の菊水健史教授が主導す...

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