文:尾形聡子
[photo by Rich Makinson]
安楽死の選択は、飼い主にとって最も困難な決断のひとつです。そもそも愛犬との死別自体が強いストレスを受けるできごとであるのに、死の時期を自分が決定するという行為は一層のストレス経験となるに違いありません。
しかし安楽死を決定する際に受ける心理的影響は、ケースによってその程度は必ずしも同じではないということも考えられます。たとえば犬に回復の見込みがないという診断が下された場合でも、長く患っている病気のためなのか、あるいは突然の交通事故で重体となっているかなどによって飼い主が抱く感情は異なってくるかもしれません。さらに、安楽死に対する考え方は宗教観や国民性の違いがあらわれるところで、