文:藤田りか子
あ!やっと見つけた…. かも!?ノーズワーク競技会におけるこのマジックモーメント、アドレナリンが一気に上がる。 [Photo by Svenska Mässan]
あと1エリアのハイドを探し当てたら、全問正解でコンプリート!ディプロマがもらえる。そして… あの「マジックモーメント」とも言える瞬間がいよいよ訪れた。そう、犬が最後のハイドを探し当てたのだ。あるスポットで体の動きが止まり、そして鼻のクンクンも止まった。フリーズ状態。
「アラート!」
と自信をもって告知。しかし!
「間違いです」
とジャッジの冷酷な宣告を聞く….
その瞬間、頭に描いていた「ディプロマ」のイメージがガシャーン!と崩れ落ちる。
エラーアラートぐらい悔しいものはない。すでにノーズワークで競技会を体験している方なら、この悔しさ、よくご存知のはず!はぁ、私もこれまでに何度体験したことだろう!にっくきエラーアラートである。何が腹が立つって、犬もあんなに「堂々」とインディケーション(アラート行動)を見せるものだから…。「あれは、どう考えても避けようがない!」と、とても絶望的な気持ちになるものだ。
ノーズワークハンドラーにとってエラーアラートは、競技に参加している以上、早かれ遅かれ必ず直面する大きな課題であり、関心ごとでもある。犬曰くでも、これまでに何度か取り上げてきたテーマだ(以下リンクを参照)。
今回も、その「エラーアラート」を学術的に考察した論文を紹介したい。発表は2011年とやや前のものになるが、内容は今なお色褪せず。古典的名著ともいうべきマスターピースで、嗅覚研究では私のお気に入りの一つである。テーマは