文:北條美紀
[Photo by Christer Lässman]
飼い主と犬は一対一の小さなチームだ。犬曰くの中でも、「スウェーデンのトレーニングシーンから〜『チーム・ビルディング』という概念」や「飼い主と犬、お互いに良好な関係にあるチームの特徴は?」、「犬と一緒に楽しいトレーニング~効果の上がるチームを作ろう!」など、チームを意識することの大切さが取り上げられている。このチームでリーダーを担うのは飼い主だが、一体どんなリーダーシップを求められるのだろう。
近年のリーダーシップ研究では、従来の権威型・支配型のリーダーシップよりも、支援型リーダーシップ(サーバントリーダシップ)に注目が集まっている。支援型リーダーシップは、メンバーのニーズや感情に寄り添い、成長と安心感を促すスタイルを特徴とする。その中で不可欠とされるのが感情知能の高さだ(Emotional Intelligence:EI、認知知能IQに対しEQということもある)。感情知能の高いリーダーは、メンバーのモチベーションやパフォーマンスを向上させ、多くの成果を出すことが研究で示されている。
犬と飼い主チームについても、飼い主の感情知能の高さは犬の行動や心理、ひいてはチームとしてのパフォーマンスに影響すると考えられる。犬は人間の表情、声、身体の動きなどの感情的手がかりに敏感で、飼い主の精神状態の影響を受けやすい(「愛犬は自分の不安状態をうつしだす鏡かもしれない」参照)。つまり、犬と飼い主チームでは、飼い主がリーダーとして精神的に安定し、犬の感情を