文:尾形聡子
[photo by Chris]
オオカミから犬へ。
人類史上最古の家畜動物である犬がオオカミから「どのように」進化したかについては、家畜化が「いつ」「どこで」と同様に長年にわたり研究者らによる議論が続けられています。
家畜化に至る二つのステップ
現在、犬が「いつ」家畜化されたのかについては15000年前くらいだろうとするのが通説です。ただし、それ以前、30000年〜15000年前くらいのものとされるいくつかの遺跡から発掘された骨からオオカミではなく犬である遺伝学的な証拠が示されており、古くは40000年前にも遡るとも言われています。
「どのように」して家畜化されたのかについては、よりおとなしいオオカミを選択的に繁殖し、人の社会集団において暮らせるようになっていったというのが通説です。人の集落に近づいて残飯を漁ることのできるオオカミは野生オオカミの中でも怖がりでないため人に敵対的ではなく、もしかしたら好奇心も強かったのかもしれません。さらに狩猟仮説というものもあり、人が狩猟をする際に協力してもらうために攻撃性の低いオオカミを家畜化したとするものです。
これらの家畜化の仮説は