文:尾形聡子
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人が大勢集まれば、気が合う・合わない人が出てくるのと同じように、犬同士にも相性があります。ですが、目の前にいる犬の気持ちを差し置いて、知らず知らずのうちに自分目線での判断で無意識的に犬に何かを要求していることはありませんか?
ひとつの例が「どの犬とも仲良く挨拶をする」です。必ずしも犬にそれが必要でないことは、先日の藤田りか子さんの「犬の「群れ」というコンセプト、再検討」や、「出会う犬すべての子に挨拶をして友達になる必要がある?」にて詳しく述べられています。当の犬はたいして他の犬に興味がないのに、犬同士が仲良くしているところを見るのが好きだから、犬という生き物はそういう欲求があるものだから、というような飼い主の意識が働いていないとも限りません。
自分の犬だけではありません。さらに考えるべき対象に相手の犬とその飼い主がいます。散歩中のすれ違いならば基本的に一対一ですが、一対一であっても適度な距離(パーソナルスペース)を必要とする犬がいます。うちの子があいさつしたがっているから、うちの子は大丈夫だから、が先に立っていないでしょうか?
いわゆる「ガウガウ犬」の飼い主さんは、毎度の散歩で非常に神経を使うものです。散歩中に「うちの子は大丈夫」という言葉を投げかけられること自体が大きなストレスになっているかもしれません。もちろんガウガウ度合いにもよるでしょうが、ひどい場合には、なるべく別の犬と会わない時間帯、会わない散歩コースを考えるのに心を砕いている可能性もあります。ガウガウ犬だからといって家に閉じこもってはいられないのです。
一方で、藤田さんの「そこで立ち止まらないで、歩いてよ!犬が興奮するから」にて挙げられている例のように、頑張ってトレーニングしているつもりが相手のペアに迷惑をかけてしまっている場合もあるでしょう。そして、その記事で「ガウガウする行動を直すことはとても難しい」と書かれているように、外に行くとガウガウしがちな犬と暮らす人は世界中に大勢いると考えられます。
そのようなガウガウ犬のことを「Reactive Dog」、見知らぬ人や犬、大きな音などに過剰に反応して吠えたり、突撃したりすることを「Reactivity(反応性)」と言います。世に反応性の高い犬がたくさんいるにもかかわらず、攻撃性や恐怖行動などと比べると、反応性についての研究は実はこれまでほとんどされていませんでした。飼い主と犬の関係性に大きく影響を及ぼすというのに、なぜか見過ごされてきたのです。
それに気づいた研究者たちがようやく