「命をいただきます!」からさらなる狩猟倫理へ、狩猟犬が活躍する野生動物ウェルフェア

文と写真:藤田りか子

アニマルウェルフェアと狩猟

「なぜスウェーデンでは犬や動物へのウェルフェア意識が高いのですか?」

とよく日本で問われる。ウェルフェアのどの分野に焦点をあてるかによって、その回答の仕方はいくつもありそうだ。一つにはスウェーデン国民が持つ高い狩猟倫理も貢献しているのではないかと思う。スウェーデンにおいて狩猟は一部の人の特権的なものではなく万人のホビーだ。その人口30万人。人口1000人に対して約30人(3%)が狩猟免許を持つ。狩猟家の割合の高さはヨーロッパではフィンランドに次ぐ第2位。のみならず国民の80%が狩猟をポジティブに捉えているということだ。狩猟が人々に受け入れられている理由の一つに、ハンター全体の狩猟倫理意識の高さが指摘されている。これは、私がスウェーデンに長年住んでの肌感覚からも「そうだ」とはっきり言える。

狩猟倫理とは、銃など武器となるものを安全に使用することだけにとどまらない。それは獲物に対しても、さらには狩猟の助っ人である狩猟犬にも向けられている。日本の狩猟動物へのウェルフェアは、残念なことだが一般市民の間であまり意識はされていないようだ。たとえば害獣駆除としてのシカの猟に関しては、「殺しては可哀想」vs 「駆除して当然の動物」というアニマルライツと狩猟家による2極の議論でしかないし、狩猟者の倫理観をメディアで聞くことはあっても「命をいただきます!」というところで止まってしまっている。「命を無駄にしない」という考え自体は日本の自然観を反映しており、誇るべきことだと思う。でももう一歩そこからさらなる倫理観を発展させてみるのはどうだろう?

つまりハンティングの仕方について、すなわち「殺処分の仕方」について、である。野生動物のウェルフェアにかかわることだ。生かすか殺すかではなく、

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