人が予測するのが苦手な犬の行動は? 遊び、それとも、攻撃?

文:尾形聡子


[Image by NoName_13 from Pixabay]

人は他者との関わりにおいて、その場の状況を見て瞬時にその先に何が起きるかを予測しているものです。相手の人が今にも怒りそうなのか、それとも笑い転げる寸前なのか、はたまた特に何も変化もなく平常心のまま当面すごしそうなのか…など、今そこに起きている状況を的確に把握し、その後を予想することは、臨機応変に適応していくために重要な能力と考えられています。

相手の感情を正しく判断し、その先を予測するという能力は、人に限らず社会性のある動物において進化の上で大きな利益をもたらす可能性があると言われています。なぜなら、正確に予測ができれば、危険を回避するか、それとも善処しようとするか、有益なチャンスだと認識するか、それとも誤りだと捉えるかなど、その先にもたらされるだろう結果が異なってくるからです。

ところで人はそのような状況判断をどれくらい正確にできているものなのでしょうか。仮に相手にする人が同じで状況も同じであったとしても、誰もが同じように解釈するとは限りません。予測するための感情評価の仕方は個人差だけでなく、文化的な違いが大きく影響を及ぼすこともわかっています。

では、犬同士の状況に対する人の判断はどうでしょう?たとえば散歩中に他の犬とばったり出会い、そこに犬同士の交流が生まれるとします。犬たちが交流している様子を見て、「うちの犬は今にも攻撃しそうだ、早く離れなければ」と一方の飼い主が感じていても、「相手の犬、とても楽しそうにしている。もう少しあいさつを続けさせよう」ともう片方の飼い主が判断すれば、そこでちょっとしたトラブルが起こりかねません。このような予測のすれ違いのようなことは日常的に起きています。

ドイツのマックスプランク研究所、ライプツィヒ大学、フリードリヒ・シラー大学イェーナの研究チームは、実際のところ成人はどのくらい状況予測を正確にできているのかを調べるために、

【こちらは有料記事です】

続きを読むにはして下さい。

ご購読いただくと続きをご覧いただけます。

今すぐ会員登録して続きを読む