ダルメシアンの先天性感音性難聴の遺伝的リスク要因のひとつが明らかに

文:尾形聡子


[photo by Lorren & Loki from Unsplash] バイアイ(オッドアイ)のダルメシアン。

先天性の感音性難聴は内耳や脳の聴神経などの感音器の異常が原因となり起こる難聴で、これまでに90犬種以上において発症報告がある、犬に広くみられる遺伝性疾患です。内耳の組織変性により失われてしまった聴覚への治療法は現時点ではありません。片耳の難聴(片側性難聴)の場合はほぼ普通に日常生活を送ることができるため飼い主が気づかないことも多いのですが、両耳の場合(両側性難聴)には難聴であるが故にコミュニケーションがとりにくく、手放してしまうというケースも少なくなく、時に安楽死を選択されたりすることもあります。

この病気は内耳の蝸牛にある色素細胞(メラニン色素を作る細胞)の欠如が主な原因であり、白い毛(ホワイトスポッティング)やマールの毛色と関連していることが分かっています。しかしそれだけでは発症原因のすべてを語ることはできず、複数の遺伝子変異や環境も影響すると考えられています。

ダルメシアンの3〜4頭に1頭が罹患しているCSD

犬の先天性感音性難聴(Congenital Sensorineural Deafness:CSD)の発症のしやすさは犬種によって異なりますが、もっとも発症しやすい犬種はダルメシアンです。国による違いはあるものの、30%ほどのダルメシアンが片耳あるいは両耳の難聴を患っていると報告されています。

ダルメシアンのCSDはMITF(Microphthalmia-associated transcription factor:小眼球症関連転写因子)という白毛パターン(ホワイトスポッティング:S遺伝子座)を作り出す遺伝子

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