文:尾形聡子
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人も犬も生まれてから時間が経つにつれて歳をとっていきます。加齢に伴い成長し、そして、加齢に伴い体の機能は衰えていきます。加齢はどの生物にも平等に起こりますが、体が変化していく老化には個体差があります。人なら一卵性双生児であっても、犬の場合には同腹であっても、老化のスピードや寿命は異なってくるものです。遺伝的な要因が同じでも、環境や生活習慣、そしてエピジェネティクスなどが影響をし、加齢に伴う老化現象には差がでてきます。
個体の老化のメカニズムについては人をはじめ、さまざまな生物種において数々の研究が続けられています。犬の寿命に関する研究も多く、これまでに犬曰くでもそのような研究の中からピックアップして紹介してきました。たとえば健康面から見ると、犬は人と同じように肥満であることが寿命を縮める恐れがあると示されていたり、ミクロの世界では「テロメア」と呼ばれる染色体の端に存在する構造から細胞の老化について調べられています。はたまた犬は同じ犬という動物であっても犬種により大きく寿命が異なるため、遺伝的な差異があるという前提での研究も数多く行われており、遺伝と環境をつなぐ「エピジェネティクス」という生命現象から大型犬の寿命がなぜ短いか?の謎に迫った研究もあります。もちろん、獣医療の発達や公衆衛生の向上などが寿命伸延に影響しているという状況もあります。
このように、老化メカニズム研究において、人と同じような老化プロセスを持つと考えられている犬にも注目が集まっています。上述したように、犬では太りすぎが寿命に悪影響を及ぼすことが示されてはいるものの、体重の内訳、すなわち体の組成(脂肪量、除脂肪量※)が寿命に影響を与えるかどうかはほとんどわかっていません。このような背景から、英国、スウェーデン、スイスの研究チームは、成犬のラブラドール・レトリーバーの体重と身体組成を12年にわたって追い続け、それらの経時的な変化と寿命との関係を調査しました。
※除脂肪量:体の成分組成のうち、体脂肪を除いた筋肉、骨、内臓の重さ
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寿命に関係する要因は何か?
研究は